第10話 後悔?

目を開くとそこは保健室だった。


私は咲樹と口論になった挙句その場で倒れてしまったらしい。


幸いただの風邪で特に病院に行くなどの処置はせず、部活は早退と言う形になったらしい。


養護教諭の先生に、「お大事に」と一言言われたのでその言葉に一礼を返すと私は保健室を出た。


荷物等は全部咲樹が持ってきてくれたらしい。


先生からはそう聞いた。


私は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


せっかく体調を気にかけてくれていたのに冷たくあしらって咲樹に迷惑ばかりかけている。


ーそれに血迷って好きだって言っちゃった…


最後やけくそでそう言ったのは覚えている。


けれどその後意識が途絶えたので咲樹の反応までは見ていない。


私は後悔の念に駆られながら帰路を辿った。





それから時が経ち夏休みも残り2週間を切った。


大会も無事ベスト4入りとなり、次の大会のための練習に取り掛かっていた。


最近ますます咲樹と話さなくなった。


と言うのも気まずいのだ。


おそらく咲樹も気まずいのだろう。


なんとなく目が合いそうになるとすぐに背けた姿を見てショックはあったけど自業自得だなとも思った。


とは言ってもやっぱり言うべきじゃなかったと後悔している。


咲樹を困らせる気は毛頭なかった。


あの日無理してでも練習に行った私を心の中でめちゃくちゃ責めた。


「最近元気なくない?」


世良にも言われるほどに私は憔悴しきっていたらしい。


「そう?暑いから元気もなくなるよね」


私はそう言って誤魔化した。



練習が終わって着替えに向かう途中世良は監督に呼ばれたので私は1人で更衣室に向かった。


「えっ咲樹って好きな人いんの!?」


更衣室を開けようとドアノブに手をかけるとそんな言葉が聞こえたので私はその場で硬直した。


「うーん……まあ…?」


咲樹のその言葉を聞いた瞬間血の気が引いた気がした。


私は入るにも入れずその場で立ち聞きする形になってしまった。


「えー!?どんな人???」


「どんな人…?うーん…いつも静かで落ち着いてるように見えて、実はめっちゃ話すと面白い人」


「へえ〜ギャップがある人だね!それでいつ告るの!?」


「えっそれは考えてないよ…そもそもその人に伝える勇気もないし……」


「そっか〜でも告白しないうちに他の人とくっついちゃうとかすると割とショックだし後悔するんじゃない?」


「そうなんだけどー……」


私は咲樹の迷ったような口ぶりに罪悪感を覚えた。


ー私が告白なんてするから咲樹の恋路を邪魔しちゃったんだ……


きっと咲樹は優しいから、咲樹は好きな人との告白が成功してしまったら私がショックを受けると思っているのだろう。


ただ私はこれ以上咲樹ぬ迷惑をかけるつもりは無い。


私は自分の中で決心を固めてドアを開けようとした時ちょうど更衣室の中からドアが開かれた。


ーそのドアを開けたのは咲樹だった。


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