第4話 夏休み 揺らぐ気持ち


1学期もあっという間に過ぎ、明日から夏休みに入る。


今日は終業式と通知表返却があった。


私立の高校は1学年だいたい15組編成でコースが6つほど存在する。


ちなみに私は特に勉強しに来たわけでもないので、主に運動部主体の体育コースを選んだのだ。


通知表は特に問題なくオール5を取れていたので安心した。


だいたいこの高校はだいぶ評価が甘い。

平均を超えるくらいの点数を取って提出物さえ出していれば問題なく5が付くのだ。


LHRがあるため準備をしていると優里が私に声をかけた。


「お疲れ!!成績どうだった??」


そう私に聞いてきたので私は自分の通知表を優里に渡した


「げっっっ……オール5なん!?しかもクラス1位……翠勉強なんてするタイプだっけ?」


「いや。予習復習とかはまじでしない。するとするならテスト前日一夜漬けするくらいだわ。」


私は優里に向かってそう言った。


実際テスト勉強を前々からするタイプでは無い。

たださすがに前日に焦って範囲を叩き込むことくらいはしている。


それでもオール5が取れるのが体育コースのいい所でもあるなと私は感じていた。


「まじか〜流石だね。文武両道だ。夏休みもずっと部活?」


「いや。何日かはオフあったよ」


私はそう答えた


すると優里はいたずらっ子のような顔で私に


「じゃあ翠好きな人とお出かけとか誘えちゃうじゃん!」


と私に向かってそう言った。


「いや好きな子ってわけじゃないし……ただ気になるって言うか…ちょっとね。気になるだけだし。」


私は少し睨みつけるように優里に言った。


ーそう私は気になっている人がいると1ヶ月ほど前の6月に優里にカミングアウトしたのだ。


けど、さすがに女子って言うのは言えてない。


まだ言うべきじゃないと思ったからだ。


「じゃあその気になってる人と少しでも進展あるといいね!!その人の連絡先持ってるの?」


まあ同じ部活メンバーだし……


私はそう心の中で思うながら「持ってるよ」と答えた。


優里は私が肝心の誰が好きかは聞いて来なかった。

おそらく気を使っているのだろう。

私は優里のそういう所がすごく好きだ。


「まあ頑張るわ…部活もそれ…も。優里も好きな人と順調なんでしょ?」


私は優里に向かってそう言った 。


「うんうん!!最近は会ったら何かしら話すようになったし、お祭り行く約束もしちゃった!!」


優里は照れながらそう答えた。超可愛い。


「じゃあそっちこそ付き合うのなんて時間の問題じゃん!ちゃんと定期的に報告してね?」


私がそう優里に伝えた所で担任が入ってきたため、私たちは話を切り上げ席に着いた。



♢

私は担任の長い話に耳を傾けながら、咲樹の事を考えていた。


咲樹を好きだと自覚した頃から、ふとした時には咲樹の事を考えてしまっている。


我ながら私は人を好きになるとめんどくさいタイプなんだろうなと感じた。


実際この2ヶ月進展は何も無い。


あったとすれば、前よりも部活のみんなと距離が近くなったくらいだ。


入部して4ヶ月ほど経ったので、もう遠慮が無くなったんだろう。


咲樹とも前より話す機会は増えた。


私がぼーっとしてるとすぐにちょっかいを出しに駆け寄って来るので、休む暇がない。


けれど咲樹が私に抱きついて来たり、話しかけてくれたりすると、死ぬほど嬉しい。


けど、その度あくまで友達としてのスキンシップだと思ってしまうとやっぱり少し落ち込んでしまう。


ーそりゃ同性だし仕方ないんだけど。


私は心の中でそう思った。


ーいよいよ明日から夏休みだ。


私はこれからやってくる夏休みに気持ちを高ぶらせながら、HRの終わりを待っていた。




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