第1話 優里
「翠って好きな人とか作らないん?」
私の友達の優里(ゆり)がそう言った。
……よく聞かれる。
けど私はいつもこう答える。
「好きな人は作るもんじゃないでしょ」
だって実際そうだと思う。
「えーでも翠仲良い人いるじゃん。ほら、いつも話してる人」
そう言って彼を見た。
「あいつは違うよ。そういうんじゃなくて……同志?みたいな。好きなゲーム実況者が同じなんだよね。」
「あ〜翠そういえばいたね。そんな人。ゲーム実況者だけど中身も超かっこいいんでしょ?」
「超かっこいい」
私は即答した。
「優里は誰かいないの?気になる人」
私は自分の話題から逸らすように優里に尋ねた。
「話逸らした……まあ、気になってる人はいるよ?
夏休み中にでも一緒にどっか遊び行きたいなって。」
「いいじゃん。付き合ったら報告待ってる。」
「そんなこと言って…翠もかっこ可愛いんだから、すぐにでも作れそうなのに…」
そんな優里の言葉に私は適当に返しつつ、次の授業の準備をした。
♢
私は4月から私立の高校に入学し、人生初めての高校生活に気分を踊らせていた。
……のは初めの2週間ほどで、時は7月。
もう授業なんてやってられない。
高校と言っても私立で校則は厳しいから、携帯はいじれない。
それに私は人見知りをするタイプで、友達が出来たのも5月中頃だ。
入学してすぐに、親睦を深めるオリエンテーション合宿があったけど、ちょうど引越しをして、環境に慣れてなかったからか体調を崩し、合宿には行く事が出来なかった。
それでも今友達が目の前にいるのは私史上の快挙ではないかと思う。
目の前にいる私の友達 優里は私とは打って変わってコミュ力お化けだ。
誰とでも仲良くなってすぐに打ち解けてしまうのはすごく羨ましいとも思う。
そんな彼女がなんで私なんかとつるんでいるのか
1度尋ねたことがある。
その時彼女がこう言った。
「だって翠超かっこいいんだもん」
私の見た目は制服を着ていなかったら男子と間違えられるくらいボーイッシュな見た目である。
元々バスケットをするためにこの高校に来たみたいなものだから髪は短くて当然だし、そもそも私自身もかっこいい方が好きだ。
だからと言ってかっこいいから友達になるって言うのも複雑なような……
♢
長かった6限が終わり、放課後弓道部の練習がある優里と同じく練習のある私は途中で別れて私は体育館に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます