第6話 天界のミュージシャン!?

『それでは、コホン♪(咳払い)改めてソレドちゃんのご説明をさせていただくのなのなのねぇ』

「神様ぁぁぁあああ!!!ソレドちゃんのご説明はわたくしからお二人にきちんといたしますでございますデシから、なんとか、コンサートに行かせてくださいでございますデシィィィィイイイ!!!」


クラウドは大粒の涙を流しながらノートパソコンの画面に再び食いついた。


『まぁまぁ、クラウド!心配することないなのなのねぇ。やっと、淳君と美夜さんの前に姿を現せたなのなのねぇ。少し、お二人とお話をさせなさいなのなのねぇ。』

「神様ぁぁぁあああ!!!」


泣いているクラウドを呆れながら淳がノートパソコンの画面から再び引き離した。


「神様!はじめまして!俺、神宮寺淳って言います。こっちは姉の美夜です!よろしくお願いします!」

『はい!良いご挨拶なのなのねぇ。では、コホン♪わたくしも改めてご挨拶をさせていただくのなのなのねぇ。』

「姉ちゃん!挨拶!挨拶!」

「あっ!ごめん!」


淳に促されて、美夜は慌てて神様に挨拶をした。


「はじめまして!神様!神宮寺美夜と申します。不束者ですが、よろしくお願いいたします。」


美夜は神様に深々と頭を下げた。


『はい!とっても良いご挨拶なのなのねぇ。では、コホン♪わたくし、天界を作った神々のうちの1人なのなのねぇ。クラウドに美夜さんの願い事を叶えるように任命したのがわたくしなのなのねぇ。

わたくしの正式な名前を言うと淳君も美夜さんも頭がこんがらがるのなのなのねぇ。わたくしのことはただ単に『神様』と呼んでくださいなのなのねぇ。』

「はい!わっかりました!姉ちゃん、わかったか!?」

「わかった!」

「それじゃあ、神様!早速、クラウドがさっきから泣きついているソレドちゃんって誰っすか?教えてください!」

『コホン♪ではでは、なのなのねぇ。クラウドが言っているソレドちゃんとは芸名をソレイユ・ドールと言って、天界一のミュージシャンなのねぇ。』

「えぇぇぇええええ!!!天国にもミュージシャンがいるんすか?」

『淳君。天国じゃなくて天界なのなのねぇ。お間違いなくなのなのねぇ。』

「天国と天界って違うんですか?でも、確か、どっかで天国は神様が作ったとか勉強したような???」

『とにかく、天国じゃなくて天界なのなのねぇ。天界のことを説明するととっても長くなるなのなのねぇ。神様は意外と多忙なのなのねぇ。パッパッと切り上げないと次の仕事が待っているのなのなのねぇ。』

「もういいでございますデシか?神様ぁ!ソレドちゃんのコンサートォォォオオオ!!!」

『しょうがないなのなのねぇ。クラウド!ソレイユ・ドールさんのコンサートに美夜さんを一緒に連れて行けばいいのなのなのねぇ。』

「でも、神様ぁ!ソレドちゃんのコンサートにはクラウドと他の2人の同僚と一緒に行く約束をしているのでございますデシ。コンサートのチケットは同僚の一人が持っているのでございますデシ!」

『そんなの神様には全然問題ないなのなのねぇ。それにクラウドの同僚2人はわたくしが緊急の仕事を任命したのなのなのねぇ。チケットなら、クラウドのノートパソコンに送信しておくなのなのねぇ。それで問題ないなのなのねぇ。』

「みよるシャ・・・、じゃなくて、美夜さんをコンサートへ連れて行ってよろしいのでございますデシか?」

『滅多なことでは人間界の者は天界のコンサートにはいけないなのなのねぇ。でも、出血大サービスなのなのねぇ。』

「神様!俺も行きたいっす!だって、話を聞いていると、チケットはあと一枚残っているみたいじゃないっすか!?」

『しょうがないのなのなのねぇ。大出血大サービスなのなのねぇ。クラウドと美夜さんと淳君の3人でソレイユ・ドールのコンサートへ行ってらっしゃいなのなのねぇ。』

「やりぃ!!!おっしゃぁぁぁあああ!!!」

「神様ぁ!!!ありがとうございますデシィィィイイイ!!!」

『それでは神様は多忙につき、仕事に戻るのなのなのねぇ。クラウド!ちゃんと任務を果たすのなのなのねぇ。』

「はい!お任せくださいませでございますデシ!」


クラウドは画面に向かって敬礼をした。

ノートパソコンの画面に『see you!』っと表示され、画面は暗くなった。


「やりぃぃぃいいい!!!てんご・・・、じゃなくて天界のミュージシャンに会えるぞ!」

「みよるシャンをコンサートに連れて行けるのはとっても嬉しいデシけど、なんでアツシも一緒なんデシか!?せっかくの憧れのソレドちゃんのコンサートなのにデシ・・・。アツシの地獄耳!理数系で計算高いエロエロガッパァ!!!やっぱり、調査ファイル通りデシ!」


クラウドは不服そうにアツシを睨んだ。

不貞腐れているクラウドに睨まれても淳は全くひるまず、ご機嫌だった。


「別にいいじゃん!みんなで行くほうがコンサートは盛り上がるって!それより、クラウド!

ソレイユ・ドールさんってどんなミュージシャンなんだよ?どんな顔してんの?ネットにサイトとかねぇの?」

「ソレドちゃんのサイトはあるデシけど、アクセスできないデシ!」

「なんでぇ!つまんねぇの!じゃあ、どんな曲、唄ってんだよ?」

「テクノポップ、デシ!」

「テクノポップ???天界にもテクノポップなんてあるのか・・・。それじゃあ、クラシックとかもあるわけ?」

「あるデシ!天界は人間界と似ているデシよ!」

「へぇ~!じゃあ、ソレイユ・ドールさんって日本で言うところのパフュ・・・。」

「人間界のテクノポップと一緒にするんじゃないデシよ!天界のテクノポップはなんというかデシねぇ・・・。」

「はいはい!クラウド!天界のテクノポップの話は良いですからねぇ~!」

「クラウドは天界のテクノポップの良さを色々とデシデシ・・・。デシデシ・・・。」


陶酔しきって、色々と語り始めそうなクラウドの様子を察して、淳は軽く流した。

クラウドはすっかり不貞腐れてしまっていた。


「そうだ!こんなことしている場合じゃなかった!早く花買ってこないと!姉ちゃん、クラウドの部屋、母ちゃんが寝ていた部屋で良いよな?」

「そうだね。テレビもあるしね。クラウド。これから一緒に暮らす部屋だけど、和室で良い?」


美夜が苦笑しながら話しかけるとクラウドはすぐに機嫌を直して、美夜に照れ臭そうに微笑んだ。


「全然いいデシ!ありがとうございますデシね!」

「それじゃあ一緒にお皿とマグカップとノートパソコンなんかも片付けようね。その後、お母さんの部屋に案内するね!」

「はいデシ!」


クラウドは茶の間のテーブルの上を美夜と一緒に片付け始めた。

アツシは2人が片付けているのをちらりと見て、自分の部屋へ戻っていった。


「さすがにスウェット姿で外には出れねぇよな!危ねぇし!」


お気に入りのグレーのパーカーにビンテージ物のジーンズに着替えて、淳は玄関でスニーカーを履いた。


「姉ちゃ~ん!俺、花買ってくる!」

「行ってらっしゃ~い!」

「とっとと、行ってくるデシよ!」

「へいへい・・・。」


アツシはしっかりとヘルメットを被って、黒いスクーターに乗って、花を買いに出かけた。

美夜とクラウドは茶の間を片付け、キッチンで3人分のお皿とマグカップを食器洗い機の中へ入れた。

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