第5話 神宮寺家の朝ごはんと神様登場!
茶の間のテーブルには焼き立てのピザトーストとほど良い温かさのミルクココアが乗っていた。
「いただきますデシィ!!!」
「行っただきま~す!」
「いただきます。」
クラウドは3枚、淳は2枚、美夜には1枚のピザトーストがお皿に乗っていた。
3個のマグカップにはミルクココアが並々と入っていた。
「あっ!甘くて優しい味!すっごく美味しい!クラウドさん、ココア作るの上手なんですね!」
「いやいや、みよるシャンのピザトーストには負けるデシ。もう、『クラウド』って呼び捨てにしてほしいデシね!」
「あ、えっと、あの・・・、クラウド・・・。」
美夜は恥ずかしそうにボソッとクラウドを呼び捨てにした。
「なぁ、クラウド!」
「アツシ!お前は変わり身が早すぎるデシよ!みよるシャンみたいに恥じらいというものはないデシか???」
「あるわけねぇ~だろ!それよりさぁ・・・、クラウド。」
淳は1枚目のピザトーストを食べ終わると不服そうな顔をしてクラウドを見た。
「俺も今年の元旦に天界神社へ初詣に行ったけど、なんで、俺の願い事は叶えてくれないわけ?」
「アツシのエロエロガッパな願い事なんて、どうして叶えてやらなきゃいけないデシね?
それにほとんど叶っているじゃないデシか!?」
「まぁ・・・、叶っていると言えば、叶っているけどさ・・・。イマイチ理想とは違うんだよねぇ~。」
「努力が足りないデシね!それにアツシは天界伝説通りに願掛けをした訳じゃないデシね!」
「天界伝説???なんじゃそりゃ???姉ちゃん、知ってんの?」
「うん。元旦の日の午前中に天界神社の湧き水で洗った、
5円玉、50円玉、500円玉をお賽銭箱に入れて願掛けするの。
そうすると必ず願い事が叶うって言う伝説だよ。」
「あっ!聞いたことある!思い出した!母ちゃんが言っていたなぁ・・・。
そのおかげで父ちゃんと結婚できたんだろ?
ああ!!!はいはい!はいはい!知ってます!知ってます!
555円でなんでも願い事が叶うなんて、お得な伝説だなぁ・・・、って俺思ったわ。」
「アツシはやっぱり馬鹿ガッパデシね!天界伝説は他にもたくさんあるデシ!
みよるシャンは気にすることないデシよぉ。素直に天界伝説を信じて実行したんデシから。
だから、クラウドはみよるシャンの願い事を叶えるために天界から派遣されてきたデシ!」
「あっ!ムッカつくぅ!なんで、姉ちゃんだけ、えこひいきするんだよ!」
「馬鹿ガッパのアツシにはわからない事情があるデシ!
みよるシャンはアツシなんかより、全然、素直なんデシ!
だから、願い事を叶えてもらえるんデシ!」
クラウドは冴えた鋭い瞳で淳を睨んだ。
淳は不服そうな顔をしながら、2枚目のピザトーストをパクパクと食べ始めた。
「さて、花買ってくるか!」
美夜が作った、いつも通りのピザトーストを食べて、満足気に淳は部屋へ戻ろうとした。
「ココア飲んでいきなよ。せっかくクラウドが牛乳温めて作ってくれたんだよ!美味しいよ!」
「わかった・・・。俺、ブラックコーヒーの方が良かったな。甘いの苦手なのに・・・。」
ブツブツ言いながら、淳はココアを少しずつ飲み始めた。
「おとなしく、飲めば良いんデシ!アツシは本当にみよるシャンに甘えてばっかりいるデシね!」
「うるさいなぁ!ちゃんと飲んでいるよ!変なもん入れてないだろうなぁ?」
「クラウドはそんなアツシみたいな姑息な真似はしないデシ!」
「はいはい!ちゃんと、飲んでます!飲んでます!」
淳がココアを飲んでいるのを確認しながら、突然、クラウドはハッとした顔になった。
「そうデシ!大変デシィィィイイイ!!!」
クラウドは慌ててスーツケースから真っ白いノートパソコンを出してきた。
テーブルにノートパソコンを置くと、電源を入れて、カチャカチャといじり始めた。
「げぇぇぇえええ!!!ノートパソコンまで持っているよ!最近の天使はハイテクになったもんだなぁ~!」
「アツシ!お前、昔の天使を知っているデシか???」
「いや、知らん。失礼しました・・・。それより、ノートパソコンなんて出して、何やってんだよ?」
「エンジェルネットにつないで神様と話すデシ!」
「天使の次は神様か・・・。姉ちゃん・・・。俺、正常???これ、なんかの夢???」
「大丈夫だよ。淳は全然、正常!大丈夫!」
美夜は微笑みながら、淳を元気づけた。
「なら、良いんだけど・・・。クラウド。それで、ネットで神様と話すのかよ?」
「話せるデシよ!アツシはうるさいデシ!ついでに馬鹿ガッパデシ!急がないといけないデシね!!!」
クラウドは必死でノートパソコンをいじっていた。
ほどなく、ノートパソコンの画面に
『Welcome God Room!』
・・・っと表示されたかと思うと、画面がパッと変わった!
「神様ぁぁぁあああ!!!デシィィィイイイ!!!」
クラウドは半泣きになりながら、画面に食いついた。
「げぇぇぇえええ!!!これが神様???ただのスマイルマークじゃないかよ!!!」
淳は呆れながら、画面を見た。
ノートパソコンの画面には背景が真っ黄色で黒い線でまん丸い目が2つとにっこりとした口が表示されていた。
『クラウド・・・。なんなのなのねぇ?』
画面のスマイルマークの口が動いて、しゃべり始めた。
「神様ぁ!!!来週の土曜日、ソレドちゃんのコンサートなんでございますデシ!
でも、わたくし、神宮寺美夜さんと淳さんのお二人と契約を交わしてしまったのでございますデシ!
だから、憧れのソレドちゃんのコンサートに行けなくなってしまったのでございますデシィ!
神様ぁ!!!何とかしてくださいませデシィィィイイイ!!!
憧れのソレドちゃんのコンサートにどうしても行きたいデシィィィイイイ!!!
ソレドちゃぁぁぁあああんデシィィィイイイ!!!」
どう見ても22歳か23歳くらいの金髪の青年が涙をボロボロとこぼしながら、ノートパソコンの画面に食いついている姿を見て、さすがに淳も呆れていた。
「落ち着け。クラウド!ソレドちゃんって誰だよ?」
『それはわたくしがご絶命させていただきますナノなのなのねぇ。』
「おお!神様が説明してくれんのかよ!?ありがとうございます!」
淳は大粒の涙を流しているクラウドをノートパソコンの画面から引き離すと興味津々で神様に話しかけた。
「その前に失礼なんですけど、神様って、そんなお顔をされているんですか?」
『そんなことあるわけないなのなのねぇ。これは仮の顔なのなのねぇ。神様はそう簡単に顔を見せることはできないなのなのねぇ』
「なぁ~んだ!俺、てっきり!!!」
神様の登場で実は冷静さを失いそうになっていた淳だった。
「そうだよなぁ!神様がこんな顔しているわけねぇよな!ぶっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!」
美夜の「大丈夫。」の一言を思い出し、淳は画面に向かって大笑いをした。
クスクスと美夜も笑っていた。
淳も美夜もノートパソコンの画面に写った顔が神様の本物顔だと思っていた。
『クラウド・・・。そんな大泣きをしてはいけないなのなのねぇ。』
ノートパソコンの紙さ派困った顔でクラウドをなだめた。
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