第7話 お試し

木曜日の夜、僕は花川さんに連絡を入れた。

『ポーションできたよ』

『ホント!早いね!』

『どうする?学校で渡す?』

『ポーション貰ってるって他の人に見られちゃうかもだから放課後私の家でもいいかな?』

『そうだね。わかった。家どのへん?』


金曜日の放課後、花川さんの最寄り駅にやってきた。

駅前広場に私服の花川さんがいた。

ロンTにスキニーのGパンとシンプルだけどとても良く似合っていた。


お待たせ。

「来てくれてありがとう」

大丈夫。じゃあ

「家で受け取る。ここだとあれだし」

そう?

「少し距離あるけど」

わかった。


道中はお互いの事を話した。僕が錬金術師を始めたきっかけ、花川さんが料理師をしている理由。

接点がなかったから会話が続かないかと思ったけど、ダンジョン関連やジョブの事を話していたらそんなことはなくて、すぐに花川さんが住む家についた。


6階建てのマンションの2階角部屋が花川さんの家だ。


「狭いけど、上がってお茶出すよ」

あ、うん。おじゃまします。


女子の家に呼ばれて入るの初めてだな。


「ここ、座って待ってて」

ローテーブルの前のローソファに腰掛け鞄を降ろす。


「むぎ茶だけど」

ありがとう


花川さんは隣に座って来た。前のときより距離が近くてドキドキしてむぎ茶を一口のんだ。


これ。


鞄からポーション取り出し花川さんに渡す。


「鑑定しても良い?」

もちろん良いよ。


「鑑定。ほんとうにBランクだ!初めて見た!すごい」

お母さんに効くといいね。効いたとしても出来れば病院行ったほうがいいと思う。一時的かも知れないから。

「そうだよね。うん。」


じゃあ、帰るね。

「待って!」


「これお試しで貰っていいんだよね?」

うん。大丈夫だよ。


花川さんは麦茶を飲んでから僕を手を掴んだ。

「お試しもらったから私もお試し返すね」

えっ?


そう言うと花川さんは僕のベルトに手をかけた。

えっ!?えっ!?なに???

「お試し。口でしてあげる」

えっ?口でって?

「フェラ」

えっ!?大丈夫だよ!しなくても。お試しだから!それに汚いから。

「いいからジッとしてて大丈夫だから。それとも私じゃ嫌?」

嫌じゃないけど……。

「じゃあジッとしてて。初めてだから痛かったら言ってね」





大浦くんはお試しでくれるって言ってるけど、ほんとうにただでもらうわけにはいかない。


効かなかったら「 そっか」で終わってそれっきりになりそう。Cランクでも20万するのに。


私なりに考えて出た答えは

いきなりセックスはハードルが高いから前段階が必要ってこと。


だから私もお試ししてもらうことにした。

そうなるとやっぱり口…だよね。


やり方はネットでいくらでも調べられるから、調べて細めの制汗スプレー缶で練習した。

気持ちよくなってくれればいいけど。


頼んでから4日で連絡が来た。頑張って早く作業してくれたのかも。

理由をつけて放課後、家に呼んだ。


短いスカートの方がよかったかも知れないけど、持ってなかったからいつもの私服に着替えて大浦くんを待った。


大浦くんは家に帰ってすぐ来たのか制服のままだったけど、なんか大浦くんらしい感じがした。


大浦くんはコミュ障ではなくて少し寡黙なだけで、話を振れば返してくれるし大浦くんからも話してくれる。無理してる感じじゃなくて心地良かった。



大浦くんが出したポーションはネットとかで見るものよりだいぶ色が薄かった。もっと真緑なものがほとんどなのに、透き通った薄緑色をしていた。

頼んどいて疑ってるみたいだけど鑑定してもいいか聞いた。良いよと二つ返事で鑑定することになんとも思ってないみたい。


ほんとうにBランクでビックリした。大浦くん凄い錬金術師なんだと改めて思った。


やっぱりすぐ帰ろうとするから強引に引き止めた。


男の子の匂いとか、味とか戸惑ったけど、我ながら初めてにしてはうまくできたと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る