第5話 交換理由

え…………。


何かの冗談か罰ゲーム?驚いて花川さんの顔を見ると顔を赤らめて真っ直ぐこっちを見ている。


ど、どうしてポーションがいるの?


聞かずには入れなかった。処女と交換と言うくらいの理由があるはずだから。


「それは……」


ここ最近、見るからにお母さんの体調が悪そうで本人は大丈夫って言うが心配だから何とかしてあげたいと思ったらしい。


すぐに思いついたのが回復術師や錬金術師だけど、花川さんは料理師のジョブについている。ジョブを変更するにはダンジョン内で累計24時間を超えないといけない。

変更したとしても回復術師の初期は回復スキルはなく手当が上手くなるというパッシブだし、錬金術師も素材は高いし熟練度が低いと低ランクポーションにbad効果も付きやすい。

今すぐにお母さんの体調改善には役に立たないから高ランクのポーションを作れる僕に声をかけたのだろう。


気の利いた言葉が言えない。


そっか。

「うん、だからポーション欲しいんだ……」

わかった。なるべく早く作ってくるよ。

「あ、ありがと。じゃあ、その、交換はその時に」

最初の一本はお試しでいいよ。効くかも分からないし。

「えっ?いいの?あ、お試しだと低ランクになっちゃう?それだったらお試しじゃなくても」

ちゃんと高ランクで作るよ。ただこの事は秘密にして欲しい。他にも欲しいって言われても無理だから。

「わかった。ありがとう」


ポーションができたら連絡するために花川さんと連絡先の交換した。



「連絡待ってる」

うん、できたらすぐ連絡するよ

「大浦くん」

うん?


「前払い」


「じゃあね」


僕の唇にキスをして花川さんは走っていった。





やっぱり驚かれたし、理由を聞くよね。


片親って言うのと同情されるのも嫌だったから私の家の事は友達に話したことなかった。


今更、隠し事しても仕方ないと思った。


黙って聞いていてくれた。

大浦くんは安心感がある。結婚するならイケイケよりこういうタイプのがいいと思う。


聞くかわからないからとお試しでポーションをくれるらしい。

効かなかったって嘘ついたらタダでもらえちゃうよ?

お人好しすぎない?


なんでキスしたかはしたかったから。

お試しって言ってたけど、たぶん効いてそのあともポーションもらうと思う。

そしたらその先も……ね?

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