第122話  一瞬の隙



虹が架かった。



そして空からは…




星、隕石、溶岩など無茶苦茶なものが降り注ぐ…



超、高速で。






そしてそれを我らが勇者がスキルをフルに使い、その落下物を逸す、破壊する、打ち返す。





…………やっぱ家の勇者も大概だな。



そう思いながら、俺は詠唱を開始する。




勇者の稼いだ6秒をもって、言葉を紡いだ。





そしてそれは、6秒もかからない程早く終わった。







……………超短文詠唱。




そしてこれは…


















「琉浄の様な藍を知れ!!」






…………発動、藍魔法。










あの老害は何故俺が色魔法を使えるのか?とでも思っているのだろうか。




心底間抜けな面をしている。




…………いや何故なんて思われてもな。



昔、色の試練に挑んだことがあるからなんだけど…



……………そう!!俺がまだ職業を獲得していなかった、あの…




爺に弟子入りして2年後の夏。



浪江と一緒に夜空を眺めていた、あのときに俺は…















色の試練に飛ばされた。



懐かしいな。


そして同時に、あまり思い出したくも無い。


碌でも無かったからな、マジで。





…………まあ、そのおかげで今、あのエルフに勝てるんだから…




儲けもんか。








そしてそう思っていたのも束の間。



俺の周りに藍色の雲の様な霧が生まれた。



そして俺は、降り注ぐ紫の毒槍に、少しの霧を使い、迎撃する。







シャアアアアアアアアアアアア!!!!







そして俺は、前世ハマっていたゲームであるクリエイトモンスターパラダイスというゲームで作ったことのある、龍を創造した。




………ちなみに、威力まで創造すると気力が切れて気絶するので、俺は威力までは再現していない。



この龍はハリボテだ。




ちなみに、作る物にへの理解が深ければ深い程、使う気力は少なくていいという効果も、この色魔法にはあるのだが…




この世界には知らない奴が多くて困る。





……………まあ取り敢えず、俺は藍をもって紫を制した。





………ただ無数にある落下物の内、紫の毒槍が消えただけだ。



そして橙の鳥共が、俺の龍に向かって一直線である。




…………そして俺はだよな〜と思いつつ、龍を引っ込めた。





………そして、光が後ろに思いっ切り飛び、戦線から離脱する。





…………解ってるな、あいつは。






……………そして、あれだけ偉そうにしていたエルフはこちらを失望の眼差しで見ていた。




…………だよな〜。




こんなお遊びでしか無い仮想戦で、一発しか通用しないであろう奥の手を、こんな衆目に晒したのだ。



そりゃ失望されても仕方ないだろう。















…………そして、俺はふと気になったので、少し爺の顔を見てみた。




すると…












…………何か愉悦で笑いそうになってる爺の…



クソウザい顔面がお見えになった。




クソ!!俺の目的を全部知ってるからと言って、あの顔は少しウザいな。




後で抗議確定だ。






そして、俺はあのエルフの眼前に走って、今度はありったけの霧を使い、1つの武器を構築しようとした。





…………橙色の防御壁を作られたか。


予想通りだな。





………そして俺は、そんな事を考えていた脳味噌を落ち着かせ、1振りの剣を思い浮かべる。






…………チッ!!!!流石に元の威力の1000分の1も再現しようと思ったら、アホ程の気力がいるな。




これは………思い浮かべ易くなるように、技名を叫ぶしか無いか。






そして俺は、腕を上に構え、1振りの剣を創造する。






「喰らえ!!『藍あおき聖剣』!!!!」









…………藍はあおとは呼ばないんだけどな。



まあ、今回ばかりは仕方ないだろう。






………そして俺は、その剣を創造し終わった。





すると…





「なっ!?何処でそれを!!!!」





















…………油断したな?






そして俺は、藍き聖剣ごと、







「なっ!?」





そう、本当の俺は…





あの6秒、藍色の霧に包まれたときにはもう、ダミーに切り替わっていたのだ。






そして後は、勇者、そして俺の色魔法に気を取られたアホ面に悟られないように、姿を消すだけである。





そして…







現剣無双を集化させて、更にあの6秒の時から神殺しの1撃に全MPを注いだ状態で待機していた俺は、思いっ切り振りかぶり、放つ。







「お前さ、若者舐め過ぎ」








…………神殺しの1撃。









シュン……ジュドォオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!






そしてそのエルフは…













消し飛んだのだった。






…………その、過剰な火力によって。






















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