第105話 開会式と………通訳さん




あれから俺達は、トランプやしりとりをしつつ、ビーフオアチキンに興奮しながらフライトを楽しんだ。




………そして2時間はあっと言う間に経過し。





『着陸します、ベルトをしっかりお付け下さい』







ヒュゥウウウウウン!!



スゥウウウウ!!!!






………これが滑走路を走るという感覚かぁ。



いやぁ着陸ねぇ。


ロマンを感じちまうよ………俺は。





そして俺が、人生初の着陸に思いを馳せていると…







「止まったわ無神。降りましょう」


「ん?ああそうだな始崎」





結局俺の隣の座席に落ち着いた始崎が、降りることを催促してきた。




そして俺はそれに同意し、ベルトを外して座席を立ち上がった。



…………しっかし綺麗な所だな。



上空から見ただけで分かるこの美しさ。


間近でみたらどうなってしまうのだろうか…





………今から観光が楽しみだな。






そして俺達は、ジェット機を降りて、案内の人にテクテクついて行くのだった。










★★★★








あれから15分程歩いたとき、何やら特設のテントのような物が見えてきた。



そして案内の人がそのテントに入り…



1分も経たない内に誰かと出てきた。



こいつは………誰だ?



金髪のツインテールにゴスロリって…



こんなん一度見たら絶対忘れないだろ…





………待てよ、ていうことはこいつは原作に登場していないのか?




コミュニケーションしてみるか…



万が一お嬢みたいな可能性があるし。





『どうも初めまして、無神天人です』※無神は今、フランス語で話しています。







「「「「「「「「「…………え?」」」」」」」」」」








…………え?


何でこいつら一斉に俺の方見てんの?




…………フランス語で自己紹介したからか?



……………前世で絵本を読むために習得したフランス語だったが…



ここまで目立つものだろうか?




江三子先生に関しては絶句してるし…





聞いてみよう。





「何かおかしいですかね江三子先生」


「……………ちょっと待って貰っていい?」


「ん?どうぞ」






そして俺が許可を出すと、2回度程深呼吸を挟んだ後に…




「………フランス語話せたの?」


「はい、日常会話ができ…………いや、ちょっとそれすらも怪しいですがまあ、一応」




…………何と言っても前世でなおかつ子供の頃だったからな。


簡単な事ぐらいしか話せない。



…………前世の子供の頃は日常会話なんて余裕でできたのに…


何故退化してるんだ…




…………さぼってたからか。




…………いや、だって仕方ないじゃん!!!!


俺前世は一度も海外行ったこと無いんだぞ!?


フランス語なんてちょっと覚えてるだけでも良い方じゃないか!!!!








………って、俺は一体誰に言い訳してるんだ…


正気を取り戻そう。






そして自己暗示で正気を取り戻した俺は、そのゴスロリ少女が何者なのか質問してみる。






『貴方は誰ですか?』


『…………私は通訳よ。でも………私要る?』


『…………何かごめん。でも、俺のフランス語かなり怪しいし、居てくれると助かる』


『………そう、じゃあよろしく』


『ああ、よろしく』






…………ふぅ、ファーストコンタクトは悪くないな。



そして俺はやりきった感を出しながら後ろへ振り返ると…






「………謎の疎外感が…………つらい」


「まさか一年に負けるなんて……生徒会長にあるまじき事ね………家帰ったら勉強しよ」


「わぁ!スッゴいね君!でもお姉ちゃんの前ではあんまり話さないでね?悲しくなるから」






何か皆全体的に落ち込んでる!?


何で!?


そんなにか!?俺がフランス語話すのそんなに不快感あるか!?


………何か悲しくなってきた。




「…………宿へご案内します。皆様」





………通訳の人も呆れ返ってるよ。



………早く立て直そ。





そして俺は、まだ到着して1時間も経過してない内にホームシックを煩いつつ、宿を目指すのだった。




……………おうち帰りたい。

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