第98話 朝チュンを経験したのは今世が初だ


コッケコッコー!!!!







…………今日は、この旧寮の近くの鶏舎からのお声が奇跡的に届き、起きることができたようだ。



唐揚げにすんぞボケが。





「土曜の朝に強制起床は拷問だろ………俺の二度寝ぇ…」



そして俺が折角楽しみにしていた二度寝を惜しんでいると…



ムニッ




左手に、何やら柔らかい物がぶち当たった。


何これ?と思いながら横を見てみると…





「………何かちょっとだけ盛り上がってない?この布団」




ゴソゴソ




「動いた!?」



俺がそう声を張り上げると、このゴソゴソの主が話しかけてきた。




バサッ



「無神、乙女の朝は弱いんですの………よ、お静かに」


「いや個人差あると思うけど」




そう夏休みのとき爺の修行を受けていた頃、毎日のように浪江に叩き起こされていた俺は本能的に口を挟んだ。







…………てかんなこと言ってる場合じゃねぇ!?



「おっ!?お嬢!?」


「………ん?そうですわ。折鶴カンパニーのご令嬢、御津留ノ宮時花ですわ」


「………何でいるの?」


「……………ああ、もしかして覚えでない?」


「はい!!!!」


「お静かに…」







★★★★






そしてお嬢はあの後、俺に10分位の話をして起き上がった。



「えっと…………つまりだなお嬢、昨日の片付けが終わらなさ過ぎてここに泊まるって話になったんだよな?」


「………何回目の確認ですの」


「で!!俺がお前に、俺の部屋に泊まれと言ったと!?」


「……………ええ、そうですわ」


「俺は何もしなかったか!?」


「……………ええ、昨日は一切なにも私に一声もかけずにお休みされ、私の尊厳は破壊されましたわ」


「良かったぁ、何もしてなかった」


「ちょっとお待ち下さい、私の尊厳は破壊されましたわ」


「だからどうした?」


「…………今なら目力だけで7人殺せそうですわ」


「具体的な数字言うの止めて、怖いから」




…………今日のこいつめっちゃ不機嫌だなぁ。


んでもって今、ここでこの不機嫌晴らしとかないと今後に響きそうだなぁ…



何とかして機嫌取らないと…




…………そうだ!!!!




「なぁお嬢、怒ってる?」


「怒ってないように見えますの?」


「よし、怒ってるな」


「………………殺す」


「ちょ!?ちょっと待って!!ご機嫌取りが必要かどうか聞いただけだから!!!!」


「…………貴方無意識の内に人をイラつかせる才能をお持ちですわね、お陰様でボルテージがマックスですわ」





そしてお嬢はそういった後、一呼吸おいてこう言った。



「で?貴方はどんな風にしてご機嫌を取ってくれるのかしら?」


「お?聞きたい?じゃあ単刀直入に言うけどさ…………一緒にゲームしない?」





俺がこう言った瞬間、お嬢は両目を見開いてこう言ってきた。


「ウソ!?嘘じゃない!?」


「こら!!《判定》を使うな!!」



しっかりスキル使ってから言って来やがったな。


まあ、これでこそお嬢だが。





「して無神さん!今日はどんなゲームをしますの!!!!」












…………ご機嫌、ゲットだぜ!!!!



俺は心の中でそう思いつつ、爺に買って貰ったいくつものゲームと、今有名なハードを、段ボールから取り出した。



「んなもん入ってたんですの!?」


「ん?そうだぞ、凄いだろ。全部プレイしたこと無いけど」




ちなみに捕捉だが、俺は修行が忙しかったのと、爺に寝る時間を決められていたのと(破ると修行量倍増)、単純に爺が大量にワープ通販で購入するため追いつけず、全部はプレイできていない。



そしてこの段ボールの中にあるゲームはどれも、一度もプレイしたことの無い物しか入っていない。


ちなみに、プレイしたことのある奴は全て爺の屋敷の俺の部屋で大切に保管されている。


そしてプレイしたことの無いものも…






つまり、この段ボールの中にあるのは、プレイしていないゲームのほんの一部ということだ。



全く、弟子馬鹿が過ぎるぞクソ爺。


ありがと。






そして俺は、爺に心の中で感謝した後、この段ボールからてきとうにゲームを取り出す。




シュポッ!



「………ゾンビ物か………お前ホラー得意?」


「と…得意で…す…わ」


「震えてんぞ」



まるで生まれたての小鹿のように足がプルプルしているな。


分かってたけど、やっぱお嬢はホラー苦手なんだな。


原作通りで安心する。





そして俺は、心の中でほっこり安心しながら、優しい目でお嬢に語りかけた。



「克服したい?」




俺がそう言うと…





「……………」ブンブンブン!!!!




まるでヘッドバンキングのように首を振りながら肯定してきた。


おもろ。




「じゃあさ、お前はプレイしなくていいからさ、俺のゲーム画面見て慣れてこうぜ!!」


「…………分かったわ」






★★★★








ゲームをするためのネットは、もう既に旧寮にあったので、俺はハードをテレビに繋ぎ、カセットを入れてゲームを開始した。





『デッドぉ…地獄絵図』




そんな音声が流れたと思ったら、早速難易度選択の画面になった。



ここは無難にナイトメアで行くか。




そして俺が、ボタン操作でナイトメア決定を押そうとした瞬間、お嬢が話にかけてきた。



「ちょっとお待ち無神、何初手で最高難易度選んでるの?頭おかしいの?」


「…………ちょっと待てお嬢、お前はゲームしたこと無いから知らんのかも知れんが………こんなの常識だぞ?」


「…………ひ、否定はしませんわ。でもこの難易度の説明欄に、『ゲームが得意だ!!と言ってる奴の自尊心を破壊するために作りました、どうぞ自信喪失してください』って書いてあるけど…」


「ああそれ?ただの謳い文句だから無視で良いよ」


「そっ…そうなんですの!?初めて知りましたわ!?」


「ウンウン、そうやって学んでいけ」


「分かりましたわ!!」



そして俺は今度こそゲームを開始した。








★★★★







あれから俺は、そこらじゅうにいるゾンビを、ロックオンで培ったエイム力で瞬殺していき…




最初のボス戦が始まった。







「始まったな、お嬢」


「うん………そうね…」


「何だよお嬢、歯切れ悪いなぁ」


「いや…だって、何かゾンビが可哀想に見えてきて…」


「最初はあんなに怖がってたのに?」


「…………あれ?そう言えばさっきから一切恐怖を感じませんわ」


「なぁ、これってもしかして成功じゃね?」


「確かに!!私ホラーを克服しましたわ!!」


「よしよしいい子だ。じゃあボスを倒しましょうか」


「……………うん」








★★★★







綺麗な橙色が、カーテンの隙間から漏れだすような時間になった時。








『エリー!!』


『アイル!!』



ギュッ!!






……………fin






俺達はこのゲームをクリアした。




「なぁ、簡単だっただろ?」


「…………確かに、ナイトメアと謳っていた割には拍子抜けな難易度でしたわね。でも、どちらかと言うと貴方のプレイヤースキルで簡単に見えていたような気がしまくるのですけど…」


「気のせい気のせい、誰がやってもこうなる」


「…………今度買ってみよ…」


「ん?何かいったか?」


「いや、気になるし買ってみよかなって」


「そうか…………じゃあ貸そうか?」


「っ!良いんですの!?」


「ああ勿論、明日返しにここに来てくれるなら貸す」


「お願いしますわぁ!!」


「ういうい」






そして俺は、棚から衝撃に強いカバーのケースを選び、ハードを、カセットをいれっぱなしにした状態で紙袋に入れて、お嬢に渡した。





「はい、じゃあはいこれ」


「ありがとうですわぁ~!!明日返しに来ますわぁ~」


「おう、いつでも来い」







そして俺は、お嬢を見送り…


これでお嬢の機嫌は完璧だな!!と思いつつ…



俺は部屋に戻ったのだった。

















__________________



どうも、ラランララです!!



この度、ついにpvが100万に到達しました!!



(*≧∇≦)ノ




これも皆様の応援のお陰です!!!!


これからも更新頑張りますので!!!!これからも応援よろしくお願いいたいます!!!!



以上!!ラランララでしたぁ~。

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