第99話 訪問に来た魔剣師
バサッ!
……………朝か。
何か嫌な予感がして起きてしまった。
…………今日は日曜日だというのに。
…………しっかし、完全に目覚めちまったな。
これじゃ二度寝はできそうにない…
悲しい。
そして俺はそう思いつつ、朝のルーティーンを始めたのだった。
★★★★
お昼になった。
なので俺は、何かを作ろうと広すぎる台所にやってきた訳だが…
「…………何でいるの?」
「いちゃ嫌だったのかぁ?悲しいぞお姉ちゃんは!」
…………あの魔剣師こと、曖昧千尾がいた。
何故?
「…………まあ、いいや。一旦何故居るのかは置いとくとして…………何してんの?ダークマター錬成中?」
「ひっどいなぁ!もう!朝から料理の練習してたの!!」
「…………食材は?」
「ああ、安心して、冷蔵庫の奴は一切使ってないよ!持参したのだ!偉いだろ!お姉ちゃんは!」
「…………お姉ちゃんて…………タメなんだけど」
「やだなぁ、そういう男はモテないよ?」
「…………肝に命じときます」
「うん!素直な子はモテるよ!」
「………どうも」
…………完全にペースを乱されてるなぁ。
何か反撃したいなぁ。
…………………いやちげぇ!!
何で料理の練習してんだこいつ!
しかもよりにもよってここで!
「………この場所をチョイスした理由とかある?」
「ん?君がいるからだぞ?」
「………俺のために作ってたってこと?」
「そうだぞ!」
「……………」
何て返すのが正解なんだよ。
こいつ原作で会話の選択肢1つミスったら離脱するから話すのが辛いんだよ。
万全の準備もしてないし…
…………取り敢えず原作の知識を頼りに、パーフェクトコミュニケーションするしかないよなぁ。
頑張りますかぁ…
「じゃあさ、外食行くか?一緒に」
「お!気が効くねぇ~。じゃあ早速行こうか!!!!」
「…………片付けが終わったらな」
「勿論だぞ!」
そして俺は、この隙に、原作でのイベントの内容を思い出すのだった。
★★★★
そして俺達は、案の定というか何というか…
学食を食べに来ていた。
「ん~、鼻腔をくすぐるねぇ!」
「お気に召したようで何よりです」
「じゃあ早速入ろうか!」
スタタタ
「あっ!ちょっと待て!先々行くな!」
………はぁ、ここに来る途中も先々行かれてばっかりだったな。
原作のパフェコミュと同じ回答をしまくったのに…
途中から目も合わせてくれなくなったぞ…
どうなってんだ原作。
話が違うじゃないか!!!!
…………って、愚痴ってる場合じゃない、早く行こう!
「………奢るんじゃなくて、割り勘にすると好感度上がるんだったよな、確か」
そして俺は、しっかり原作の記憶を引き出しつつ、奴の後を追うのだった。
★★★★
俺達は飯を食べ終わった後、学食の食堂を離れ…
何故かある河川敷に、二人並んで座っていた。
そして他愛もない世間話をしつつ、しっかり原作でのパフェコミュを連発していたら…
夕方になった。
…………割りと時間経つの早かったな。
ずっと緊張してたからか?
そして俺は、喉が渇いたので、近場にある自販機にジュースを買いに行こうと立ち上がった。
「何か飲み物買って来るけど、何か欲しいものある?」
「ん~、じゃあ200円あげるから、私の好きそうな物買って来て」
「りょ」
そして俺は歩き始め、一番近い自販機に100円を三枚入れて…
俺が飲みたいコーラのボタンと…
よく見るけど買ってる人をあまり見ないコンポタージュを買い、奴の元に戻った。
「ういこれ、結構熱いぞ」
「…………………………うん、知ってる。好きだから」
「そっか、そりゃ良かった」
そして俺がそう答えると…
何やら千尾が納得のいかない顔で…
「……………何で分かったの?」
って聞いてきた。
そして俺はすかさず…
「日頃の行いのお陰かな?」
と、返す。
すると、いきなり千尾が諦めた顔で口を開いた。
「ねぇ」
「………ん?なに?」
「私達付き合わない?」
………………は?
今こいつ何て言った?
そして俺が、いきなりの発言に思考停止していると…
ズガァアアアアアアアン!!!!
何やらえげつない威力で、えげつなく硬いものを、いきなり後頭部に降り下ろされた。
くっそ痛い。
そして………………………あれ?
いきなり強く頭を殴打されたからか知らんが、意識が遠のいて行く感覚が…
ああ、そうか。
俺気絶しようとしてるんだ。
そしてその事実を理解した瞬間。
世界がコマ送りのようにゆっくりになった。
おいこれ俺死なねぇよな!?大丈夫だよな!?
そう思いつつ、俺は意識を手放したのだが…
一瞬見えた。
昨日、お嬢に貸していたハードのケースが…
………………おいお嬢………………ハードは…………大事にしろよ…
ガクッ
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