第92話 追い詰められた勇者

side妙寺園光






「……………」ハァハァハァ



………ふぅ、以外と強かったな、あの七夢仄離って奴。



脇腹に良いの貰っちゃった。






……………てか、奴のクラスメイトを目の前で倒した瞬間覚醒したみたいに強くなりやがって…


少年漫画かよ…



そのせいでわりとMP喰っちゃった。


だから連戦は避けよう。







という事で私は、今は廃ビルの中でこそこそ潜伏しているところだ。


流石に回復タイムがいる。





そうして、私が脇腹を押さえながら、壁にもたれかかっていると…







バシャアアアン!!!!





………下の階でガラスが割れた音がした。


誰か乗り込んで来やがったな。


そして居場所がバレたのは尾行でもされてたのか…


我ながら情けない。





「…………応戦………しますか」




そして覚悟を決めた私は立ち上がり、下の階の階段を目指した。



…………はぁ、せめてもう少し待ってくれば良いのに…













そう思った瞬間だった。





バシュウウウウウン!!!!




「………え?」





右肩を……………撃ち抜かれた!?



………そしてこれは………銃弾。


スナイパーの狙撃だな。




………しかしそうなると不味い。


速くここから逃げないと。







手負いで疲れきった状態で撃って来たのと………


おそらく私が立つように誘導した奴がいるのを見て…



まず間違いなく集団だろう。


《対抗心》にも限界がある。



逃げ一択だな。




そして私は、窓から出ようとしたのだが…




バチィン!!




ッチ!!!!弾かれた!!!!


誰かが結界を貼りやがった。


これじゃあ出れな………はっ!?








バァアアアアアアアアアン!!!!



シュッ





………ギリギリかわせた。




………この跡は………ビームだな。



そして私は後ろに振り返る。





すると…




「ヤッホー、引導を渡しに来たよぉー!」


「覚悟はもう決まってるな?」


「いっくぞ!」









クソ!!ぞろぞろ沸いて出てきやがって…


てかこれは流石に…



不味い。




逃げながら相手の人数を削ろう。




そう思った私は、一旦上の階に逃げた。





「あっ!コラっ!待てぇ!!!!逃げるなぁ!!!!」


「フフ!!僕は回れ右をしたのちに全力疾走してるだけだ!!!!」


「それを逃げっつうんだよ!!!!」






そして私は逃げまくった。










★★★★





最上階に辿り着いた。



そしてこのビルに屋上は無いらしい。


つまり…………詰みだ。





だが…








私もただで走り回っていた訳じゃない。




「……………」ハァハァハァ


「……………」ゼェゼェハァ


「…………」ゼェハァゼェハァ




相手の体力とHPを削れるだけ削った。



両者共に満身創痍だ。








バビュゥウウウン!!!!








……………まあ、潮時みたいだけど。


無神、上手くやれよ。




そう思いながら、真っ正面から迫り来るビームを迎え入れようとした時だった…







バリィン!!!!




























「《大祭結界》」








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