第86話 ギリギリで圧勝



相手の懐に潜り込むか…


そう思って突っ込んだ俺は死ぬ程後悔した。


何故かって?


あいつが魔剣を構えたからだ。


そして突っ込んで来た。


後悔先に立たずである。





ちなみに、魔剣というのは、一振しかできない剣のことである。


一振した瞬間魔剣は砕ける。


だが、魔剣はその一振でとんでもない威力の攻撃を繰り出すことができる。


だがしかし、魔剣は一振するだけで莫大なMPを持っていく。



………まあ、魔剣師には、魔剣を振ることで発生するMP消費を0にできるスキルが完備されてるんだけどな。




………ん?じゃあ何で継戦能力低いの?だってぇ?




………魔剣師というのは、魔剣を作り出して戦う職業である。


そしてその作り出す工程で莫大なMPを消費するのだ。


だから継戦能力低いんだよね。




って呑気かましてる場合じゃねぇ!!!!


来るぞ!!!!




ズガァアアアアアン!!!!





……っぶな。


衝撃の魔剣だったか。


…………やっぱり俺の紙耐久じゃ受けきれねぇな。


何とか避けるしかない。



………ノーダメ撃破と行こうか。


じゃあまず…



「喰らえ」




俺は手に現剣無双を掴み、曖昧に斬撃をお見舞いしようとした。


だが…


シュン


俺の頭上から嫌な音がした。


そしてこれは…














…………魔剣を作り出した時の音だぁああああ!!!!


死ぬ!!




気合いだぁああああ!!!!


そして俺は全力のバックステップをかまし、何とかその場から離れた。



そして…




ダァアアアアアアン!!!!



クレーターが出現する。


クレーム入れていいですか?




…………そして俺は、奴を囲むように現剣無双の刃先を向け、白夜。



だが…




チュドォオオオオオン!!!!



避けられる。








…………これは一般論なのだが。


前衛は、囲まれた攻撃に弱い。


だが、正面の攻撃には強い。


逆に、後衛は囲まれた攻撃は迎撃できるが、正面の攻撃を迎撃するのは至難の技。


というのが普通である。




浪江も俺と戦ったとき囲んでたもんね!!




………でも、この世には例外が付き物だ。


囲まれた攻撃を全て掻い潜って向かってくる…


天性の化け物が…


存在している。



俺とか………こいつとかな。



まあ、つまり…





小手先無しの正面同士の戦いしか、俺とこいつには残されていなかった。


つまり…




ガキィイン!!



インファイト。


剣と剣のぶつかり合いである。



キィイン!!!!




「強すぎな、お前」


「フフッ、私も私と同い年で同格の相手がいると思っていなかったよぉ」


ガァン!



「………はっ」


「…………何?」


「俺だけ?だってぇ?」


「………何が言いたいのぉ?」


「それが分からないなら、お前は所詮蛙って……………事だっ!!!!」



ガァアアアアアアアン!!!!



つばぜり合いは俺の勝ちっと。


パワーでは負けて無いな。


耐久は負けてるけど…




………まあ、取り敢えずだ…


追い討ちだろ。







そして俺は新技を解放する。



無属性魔法レベル17。




「迅速」




これは、自分から見て直線上に、超スピードで移動するだけの技だ。


だが、俺はこの技と非常に相性がいい。


何故なら…





この現剣無双の光剣には、重さがない。


だから俺は剣速を上げに上げた。


そのお陰で俺は、重心や速さの扱いが非常に上達した。



つまり…




本来であれば速すぎて調節が効かず、前に進むだけのこのスキルで俺は…






スゥウウウウン…ジャキン!!



そして予想通り、とんでもない戦闘の才能で、あれは横に曲がれないな、という事を本能で察知した曖昧が横に避けて……


斬撃は直撃した。


よって…




俺の勝ちだ。





……………だがしかし、心臓に悪いなぁ。


後もうちょっと反応が遅れてたら、首を切られてたのは俺だったな、と思いながら…


俺は首に触れかけている刃に、目を向けた。



ノーダメ撃破、完了だな。


……………うん。







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