第69話 ………まあ、取り敢えず予定を進めるか



あの後俺はこいつらから意味の分からない説明をされた。




「……………えっとつまりだな、代表を決めるときに俺を勝手に推薦しようとしたけど他の奴らから俺を馬鹿にされて、その流れで決闘をして、無事お相手とクラスメイトにトラウマを植え付けたと?」


「そうですね………はい」


「…………止めれなかった、いやこれは言い訳ね、シンプルに私もムカついたから」


「でも止めようとしてくれたのは本当でしょ?」


「…………まあ、何となく始崎は止めようとしてくれたのは分かった。取り敢えず、光と始崎は寮に帰れ、境花には渡したい物があるから校舎裏で待機」


「「「はーい…」」」


「じゃあ行け、こちとら今から江三子先生の説教でスケジュール埋まってるんだよ」


「………ごめん」


「………なんとかはする、心配はしなくていいが反省はしろ」


「………ありがと」


「ヘイヘイ行った行った」


そして俺は元気のない三人衆を見送り、入れ替わりで江三子先生が入ってきた。




「おはようぶりですね、無神君」


「………はい」


「さっきの話の詳しい説明要りますか?」


「…お願いします」


「えっとねぇ、何から話そうかしら?まあ、始まりからなんだけど」


「代表決めですよね」


「そうよ、あの時教室は委員長一択って雰囲気だったんだけどあの子達がいきなり無神君を推薦してね」


「ウンウン」


「で、森林の20階層を突破したっていう話を皆の前でしてね」


「ほうほう」


「ホラ吹くな!って森林の5階層をこの前突破したことが誇りの前野君が爆発してね」


「………決闘?」


「秒殺だったわ」


「で、結局そこからは話し合いにならなかったと、本当にすみません」


「まあ、今度時間はとるから別に決まらなかったのは大した問題じゃないわ、問題なのは皆が妙寺園君にビビり散らかしていること」


「………まあ、何とかはしますよ」


「………てかそれより聞きたいことあるんだけど、いいかしら?」


「何ですか先生」


「森林の20階層突破できたのはほぼ全部貴方のおかげってあの子達言ってたんだけど、本当?」





………………ああ、やっぱ俺のせいか。


比較的真面目にダンジョンについて勉強してる始崎よりも圧倒的なまでの俺の知識を使って俺達は20を突破したが…


そのせいで俺が優秀なリーダーに見えたのかな。


実態は1年をゲームに捧げた悲しき人間だと言うのに。


…………まあ、取り敢えず。


「………そうです…ね。境花待たせてるので行きます、保険証あざっした」


「………夜更かしは程々にね」


「…………ノーコメで」


そして俺はベッドから飛び降り、保健室から退出した。


校舎裏を目指しながら。









★★★★





若干夕焼けが見えもしないゴリゴリの昼間。


俺はスキルスクロールを境花に差し出していた。


「スキル《自信過剰》だ、使って欲しい」


「………いいの?スキルスクロール何て貰っちゃって?」


「ああ、というかお前の為のスキルスクロールだ、使って欲しい」


「…………使用」






よし!!!!獲得したな!!!!



「はいじゃあこれ持って」


「………お守り?」


「加護何でもいいから使って」


「ええ?詠唱開始」








10分後







「《風の加護》!!!!」



フゥィイイイイイイン




よし!!じゃあこれで…


「これに持ち変えて」


「………またお守り?また加護をこめるの?」


「いや、このアイテムを使う」


「ん?さっきの《風の加護》を付与したお守り?」


「えい」


ビリリリリ


「破いたぁ!?」


ピカァアアアアン


「何もしてないお守りが光ったぁ!?」


「これでよし、ステータスをみてみろ」


「な…何を言っt………何これ?バグ?スキル《加護》が2つに増えたんだけど」


「よし、じゃあ自分に何でもいいから加護使って」


「ええ?加護は自分には使えないわよ?」


「いいから」


「…………《戦いの加護》」



ピカァアアアアン!!!



「………私詠唱してないんだけど」


「完成だな」


「な…何をしたの?」


「ああ、大体10分かかるけどいいか?」


「意趣返し?まあ、別に構わないけど」


「よし!!じゃあ始めるぞ!!!」


「宜しく」



「まず同じスキルが2つに増えた理由だが、長くなるので省略する。ちなみに仕様だ」


「………で加護を自分に使えたのは?」


「よしじゃあまず加護の仕様から解説しよう、加護というのは女神に祈ることによって存在を神にアピールし、神の目に留まることで発動する」


「…………そうなの?」


「そうだぞ?」


「……………分かったわ、もう何も突っ込まない、例え貴方が誰も知らない世界の仕組みを解き明かしたとしてももう驚かないわ」


「ん?でまあ続きだが、そんな仕組みのせいで他人を強化するという崇高な他人を思いやる気持ちがどれ程かで速く祈りが終わるかが決まるんだよ。そして自分を強化するという自己中…まあ、女神にとってはだが、そのせいで自分には使えない。でスキル《自信過剰》を渡しただろ?」


「ええ、使ったわ」


「あれの効果は自身を強化する魔法の準備時間、言い換えれば詠唱時間を半分にする」


「へー、めっちゃ強いじゃない、始崎に渡しなさいよそれ」


「で、お前同じスキル2つあるだろ」


「…………ええ、何でかは知らないけど2つあるわね」


「だから一回の発動で2つ共発動するんだよ」


「………ええ」


「でも効果は一回分じゃん」


「………そうね、高揚感がヤバいけどそれほどじゃないわ…………あれ?」


「そう、その仕組みにより勿論詠唱時間は一回分になる。で《自信過剰》は勿論両方に発動する」


「………それで詠唱時間が無くなって強制的に発動するようになったと?」


「そう!!!!それにより別に女神に見て貰う必要が無くなるからな、自分に使う分にはいつでも使いたい放題だぜ!!!!」


「…………MP消費馬鹿重いんだけど」


「…………まあ、分けてやるから」


「…………効果時間クッソ短いんだけど」


「…………気合で」


「何より攻撃手段が通常攻撃しか無いんだけど」


「いや、別にそれはそれで良いだろ、何より経験もあるし」


「何で私の過去知ってるんだよ、きっしょ」


「………まあ、そういうことで貴方には今日からポーターではなくフロントでアタッカーを勤めて貰います」


「いやっあの攻撃手段が…」


「解散!!!!」




そして俺はその場から離れ、自分の寮に戻りに行った。



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