第60話 スタート




こいつ今何て言った?



…………そんな事をこの賢者はしたのか?


















……………いや、落ち着け俺。


いくら過去であっても、そんなことをする奴ではなかったはずだ。




「それは本当か?」


「………」コクッ






……………マジか。


いや、原作で昔はもっと酷かったって言ってたけど、ここまでする?


いったい何故…




俺がそう思考していたときだった。




ヒュオォオオオオン!!!!



魔法が飛んで来たのは。



「おっと!」



俺は勘でよける。


そして砂埃から、一人のお嬢様………いや。


御津留ノ宮が出てきた。



「…………部下に集めさせた情報では、只の剣を召還するだけの剣士だと言っておりましたが……………違いましたのね。はぁ、まったく使えない」






ピキッ


俺の頭から何かが切れるような音がした。




………………こいつが中学生のとき、どんな奴、どんな事をしたのかの回想などはなかったため今初めて知った。



こいつは最低だ。



「本当にこんなことを?」



俺は薄い煙の中にいる御津留ノ宮にそう問いかけた。


すると…







「貴方、何で顔色一つ変えずにそんなビームを放てたの?痛みは?」



…………質問で返された。



「この勝負が終わる頃に教えてやるよ」


「そう………ああ、その子が言ってることは本当よ」


「……………そうか」


「………なによ、仮想空間の事なんだから、本当に腕がなくなる訳じゃないでしょう?何でそんなに怒ってるのかしら?」


「………でも、痛みは感じるはずだ」


「そんなので痛がってるなら魔物に殺されちゃうじゃない、これは教育よ」


「成る程」


俺は今の問答でこいつの性格を大体把握した。




潰す。





「じゃあ教育してやるよ、お前に…」


「ふん!やれるものならやってみなさい!!でも…その腕でできるかしら?」


「殺る」


「ふふっ、後悔させてあげる」


そして戦闘が…




開始した。










★★★★

side御津留ノ宮時花






私はスキル《空間魔法》のテレポートを使って後ろに下がり、満面の笑みでこう言った。





「ふふっ!これでまた一匹ゲットですわ!!」



私は今非常に上機嫌ですわ!


何故かって?それは私のスキル《慧眼》により相手の職業の上昇率を見れるということによるものですわ。


私は何時しかの時に、そこら辺にいた上昇率の高い生徒をパーティーに入れる為に声をかけていたのですが…


何か《慧眼》にバグみたいな上昇率の方が視界の端に写りましてね。



それがあの、無神天人なのですが…



1回目声をかけた時は逃げられましたの。



でも今回、あれは逃げられないし、獲得したも同然ですわ!



部下に集めさせた情報を元に、無神に対してメタりにメタったこの戦術は、最早勝ち確。




さあ、早く終わらせましょう。








そう思いつつ私は、右手から魔方陣を展開しましたわ。

















これから何が起こるかも知らずに。


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