第58話 賢者


俺は取り敢えず、普段着に着替えたのち歯を磨き、広場にへと辿り着いた。


「よぉ!待った?」


「…………朝の1時から元気ですわね、貴方」


「そりゃどうも」


俺は元気よくこの推定お嬢様の前に現れて、何気ない挨拶を交わした。


そして俺はこのお嬢様の左を見る。


……………何かプレイアブルキャラいるんですけど?


何で?


俺はそう思いつつ、何でかを訪ねた。


「この人誰?」


「私との賭けの決闘に負けた方ですわ」




















……………マジ?


この人結構強いのに、負けたの!?


「へっへぇー凄いジャン」


俺はここで初めて安易に来たのを後悔した。


そして俺はこのプレイアブルキャラに話しかける。


「名前は?」


「黒椒野伊保(こくしょう のいほ)だ…」








………嫌な予想通り、こいつはプレイアブルキャラだ。


職業は拳師。


前衛でタンクとダメージディーラーを引き受ける、典型的なフロント張り付きキャラだ。


常にフロントにいる印象しかない。


そしてそんな事を考えていると…


「ちょっと貴方!私が呼び出したというのにいきなり黙りこくらないでくださる!?」


「ああ、悪い悪い、取引だっけ?」


「一応は覚えていらしたのね」


「ああ、一応な」


「一応とはなんですの!!」


「いや、あんたが言い出したんだろ」


そんな無駄な会話をしながら、俺はこのお嬢様に質問した。


「で?取引の内容は?」


俺がこう聞くと、このお嬢様は待ってましたと言わんばかりに話し始めた。


「決闘をしてください、私が負けたらこの子を差し出します」


「お前が勝ったら?」


「私のパーティーに入りなさい」ピキッ


おお、悪くない、これならやろうかな。


「…………ですが一つ条件が有りますわ」


「何?」


「この子も一緒に仮想空間に行きますの、それを許してくださるのでしたらやりましょう」


「いや、2対1でやれと?」


「そうですわ」


「やるわけねぇだろバーカ」


「で、ですがこの子は一切戦闘に参加しませんわ」ピキッ


「本当に?」


「ええ、勿論」


…………じゃあ何でこいつ連れてくの?


俺はそう言おうとしたが、まあ、これならいいかと思って聞かなかった。


「決闘は今から?」


「そうですわ」ケットウシンセイヲオクリマシタ


「そうか、じゃあ始めよう」ジュダクシマシタ


そして俺は受信して、いつもの光に飲み込まれた。



シュイーン






★★★★





着いた。


そして俺は辺りを見渡すと…



「森…いやジャングルだな」



バトロワのときのような広場等はなく、背の高い、幹の太い木に囲まれた場所だった。


あと若干暗い。


そして俺は、このあまりにも見通しの悪すぎる場所から移動しようと飛行を使おうとしたそのときだった…



ジャキィン!!


後ろで何かが切られる音がした。


そして俺が振り向くと…




「ぐあぁあああああああああ!!!!」



ボトッ



宙を舞った右腕が地面に落ち、


そして…


ズキン!!


俺の右腕に激痛が走る。




「ッ!!」




俺は咄嗟に右腕を押さえ、何故激痛が走ったのかを考えた。


だが、分からない…


いったい何故…


そして俺が考え事をしていると、奥の方から高笑いが聞こえて来た。


「オーホッホッホ!!かかりましたわね!!痛みに声も出せませんか」


そういいながらお嬢様がご登場してきた。


そして…



「では改めて自己紹介を。私はかの折鶴カンパニーのご令嬢にして!!賢者の継承者!!御津留宮時花(おつるのみや ときか)ですわぁ~!!」



…………………………ああ、成る程、今理解したわ。



















こいつプレイアブルキャラだわ。





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