第55話 雫の迷宮


俺は浪江を連れて、ダンジョンウォッチで送られてきた待ち合わせ場所である雫の迷宮前に辿り着いた。



「やっほー」


「……………あれが無神君のパーティー、女の子ばっかりだね」


「だよな」


そう浪江と話しながら近づくと…


「遅い!!…………女の子」


「やっぱりか~」


「賭けは境花の独り勝ちね」


何か賭けをしていたようだ。


気になった俺は聞いてみる。


「何の賭け?」


「無神の幼馴染みの性別が男か女か」


「そんなことやってたの!?」


「割と楽しかったわよ」


「じゃあ行こうか!」


俺は楽しかったのか…と思いつつ、ダンジョンの階段を降り始めた。





★★★★雫の迷宮1階層




ポチャーン


水の滴る音がする。


そして辺りは岩岩岩。


洞窟の中だ。


そして滅茶苦茶広い。


もうマジで広い、ここで空中戦出来るぞ…


そんなことを考えながら、俺は歩き始めた。



「何か寒いね」


「そりゃ雫が滴ってる洞窟だしな、涼しくもなるだろ」


「はぁ、折角なら夏に来たかった…」


「分かる」


そんな雑談をしながら前にどんどん進む。


そして10分程歩いた所で………


ウォーーン!!



魔物と接敵した。


相手は魚人一匹、頭が魚で足が人間のキモい奴だ。


「来るぞ」


俺は森林の迷宮の時とは違い、しっかり警戒を促した。



そう!ここは何しろこの秘境で一番強いとこである。たかが1階層といっても油断はできない。


そしてそれは全員理解しているようで、皆目がマジだ。



「行くぜ!」


俺がそう掛け声をあげると、皆自分のポジションにつくなり攻撃に移り始めた。


浪江が弓を引き、光が斬りかかった。


シュバァアアアアン!!


ジャキィイイイイン!!


弓矢が魚人の右肩に当たり、光の斬撃が左肩を切り落とした。


連携バッチリだな、初めて会ったばっかりなのに…


俺はそう思いつつ、白夜を世界の中心ありで三発ぶちこんだ。



チュチュチューン


バババーン!!


全弾命中、そして風穴をぶち開けられた魚人はそのまま倒れ、体が崩れて魔石だけが綺麗に残った。


戦闘終了。


そしてすぐさま境花が魔石を回収する。


「………この魔石、売れたら良いのに」


「いやダメだろ、評価は上がるんだし別に良いだろ」


「…………まあ無神がそう言うなら」


そうして俺達は、また先にへと進むのだった。

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