第54話 結果報告


あれから俺は、浪江と別れて、三人衆と合流して昼飯を食っていた。



「…………で、成果は?」



一足先にサンドウィッチを食べ終わった俺が、光、始崎、境花に聞いてみる。



すると…



「「「ゼロ」」」



仲良く同じ返事が帰って来た。


そしてそれを聞いた俺はドヤ顔で成果を語る。


「俺、一人仲間にしたよ」


「……………ついに幻覚が見えてしまったのね」


「可哀想…」


「ちげーよ!!失礼な奴だな」


何だこいつら、何の成果も挙げられなかったくせに…


そう俺が心の中で拗ねていると、光から質問がきた。


「ねぇ無神、その人はどんな人なの?」


「ああ、名前は日ノ出浪江、俺の幼馴染みだ。強さは保証する」


「そう、じゃあ安心だね!」


「ちなみに、どのクラスの人なの?」


「S」


「ほー、やるねぇ人たらし」


「たらしに見えるか?」


「まったく」


「だろうな」


そんな風に食べながら雑談していると、皆食事を取り終わり、これからについての会議が始まった。


「ダンジョン行こうぜ!」


「はぁ、そればっかりね」


「まあ、無神らしいよ」


「だろ!で、どう?ダンジョン行く?」


「………まあ、午前は仲間を探したし、午後はダンジョン行きますか」


「そうだね、行きますか」


「うん、僕も楽しみ!」


そうして無事ダンジョンに行く流れにできた俺は、嬉しさを噛み殺して立ち上がった。


「よし!!じゃあ浪江呼んでくる!!」


「てらー」


そして俺は、浪江を迎えに行った。




★★★★




俺が浪江を迎えにS宿舎に行くと、何か面白いことが起こっていた。


「何故私のパーティーに入らないの!!」


「だってぇ、興味無いし…」


「何ですって!!」


何かすごくお嬢様っぽい格好をした女の子が、取り巻きを連れて一人の女の子を勧誘している、無理矢理。


今にも戦いが始まりそうだな。



リアルファイトじゃなく、決闘をしてくれることを強く願いながら、俺はその横を通り抜けようとした。


すると…


「…っ!!なんなのよ、あなた!!」


「……………え~、俺っすか?」


「そうよ!!」


いきなりこの推定お嬢様から指を指された。


俺は辺りを見渡したが、辺りに俺以外に指を指された人がいなかったため、俺を指している事を理解した。


すると…


「あなた、代わりに私のパーティーに入らない?」


「その人の?」


「そうよ」


「嫌です」


「え?」


「他あたって下さい」


俺がきっぱりと断ると、この女はプルプルと震え始めた。


そして…


バサッ












………………手袋を投げられた。


「決闘をしましょう!」


「………………………何で?」


「負けたら私のパーティーに入りなさい!」


「やだ」


「……………始めましょう」


「許可しないけど」


俺はそう言いながら、全速力でその場を立ち去った。


身体強化を使った俺には追い付けないらしく、しばらく走ったら撒けた。


「………何かすごい人だったな」


俺はそう言いながら、また浪江の所に向かった。

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