第52話 初めての決闘相手は弓剣師?


シュイーン



……………始まったか。








そして俺は辺りを見回す。


どうやら今回のステージは草原のようだ。


いかにも初心者用って感じ。



そう俺が考えていると…



シュバァアアアアン!!!!



ヒョイッ



後ろからえげつない速度の矢が飛んできた。



「不意打ちとか最低だな!」


「でも絶対避けるじゃん!」


俺は文句を言いながら回避する。


ちなみに相手の言い分がもっとも過ぎて返す言葉が少ししか見当たらない。


そう俺は思いながら、浪江の方に体を向けた。









……………奴が持っている武器は弓剣だ。



ちなみに弓剣というのは、弓の弧になってるところあるじゃん。


あそこに刃が付いてる武器のことだ。


そして弓剣師と言うのは、その弓剣を扱う職業の事である。


あいつはそれである。


ちなみに、この職業の強いとこは3つあるのだが………



シュビイウゥウウウウン!!!!



シュタッ!



そんなことを考えている余裕はどうやら無さそうだ。


あいつの弓矢はヤバい。


当たったら間違いなく即死か瀕死になる。



そして俺は世界の中心を展開し、現剣無双を発動した。


でもって2つに柄を生やし、両手で持つ。


そして………


「白夜!!」


チューーーーン!!


10本の白い柱が、浪江に向かって伸びていく。


だがその柱は………


シュビビビビビビビビビビィイイイイン!!!!


全て弓矢で撃ち落とされた、ふざけんな。



「相変わらず馬鹿みたいな反射神経だな!」


「そっちこそ、エグい勘とエグいビーム持ってんじゃん!」




そう俺達はお互いを称え合い、更にエグい戦いへとシフトチェンジした。


様子見は終わりといったところか。


それに応えるべく、俺も新技を解放した。


「行けっ!ロストファイア!!!!」


無属性魔法レベル12で覚えれる、無属性の白い炎を放てる魔法だ。


ちなみに、属性は無属性だが熱いし燃えるという不思議な魔法である。


これなら撃ち落とされないだろう。


そうたかをくくっていたのも束の間。


シュバァアアアアン!!








……………弓矢の風圧に消し飛ばされた。


何なら効くんだよこの怪物。


そう思いながら俺は、浪江に斬りかかった。


このゴツい弓は近距離も対応可能だが、それでも本職には劣る


え?極者?知らない子ですね。


ガキーン!!!!


「やるやんっ!!」


「そっちこそっ!!」


そして俺は、光剣を3本浪江に飛ばす。






シュシュシューン!









………だが、それは空を切ることとなった。



何故なら…



「フー!危ない危ない!」


「クソがっ!」


この弓剣師には、強いとこが3つあるといった。


これはその一つだ。



スキル《媒介転移》。



パーティーメンバーのところや転移出来るというスキルだ。


これにより、この浪江というキャラは、フロントとバックどちらも行きたい放題という頭のネジの外れた事が出来る。


ちなみにだが、ゲームではポジションの移動には1ターンかかる。


しかも動けるのは1マスだけだ。


簡単に言うと、1ターンではフロントからバックには移動できず、ミドルにしか移動できないと言うことだ。


バックからフロントも然り。


だが、この《媒介転移》は違う。


この《媒介転移》は、発動に秒数が要らず、1ターンに何回でも、パーティーや弓矢に転移出来る。


消費MPが重いこと以外は破格の性能だ。


ちなみに、似たようなスキルに、光の《風より速く》というスキルが挙げられるが。


あれは前方にしか転移できず、後方には下がれない。


つまり、バックからミドル、ミドルからフロントの移動にしか使えないという訳だ。


そう、こいつは主人公の完全上位互換のスキルが使えるのである。


クソだ。


しかもこの世界では、転移系のスキルは移動するだけのゲームとは違い戦闘で使われるので、その厄介度ははね上がっている。


どれぐらい厄介かというと…



シュバァアアアアン!!



シュバァアアアアン!!


シュバァアアアアン!!!!





こいつ同時に7本の矢を放ち、そのどれかに転移しつつ、狙って来やがる。


しかもこの内の一本は確実に俺の頭を狙っており、シンプルに怖い。


更に地面に刺さった矢にもいきなり転移してくるので、心臓に悪い。


何だこのクソゲー?


そう思いつつも全弾避けていると、流石にMPの消費が激しすぎたのか、浪江はいきなり地面に片膝をついた。


「冗談でしょ?何でかわせるの?」ハァアハァアハァア


「勘かな?」


「チッ、この化け物が!!」


「お前には言われたくないね!」


そう俺は言い返しつつ、今が頃合いと思って勧誘をし始めた。


「なあ、浪江!!おm…


シュン


「《矢針刺し》!!」


シュビィイイイイン!!!!








…………こいつぅ、俺が隙を見せた瞬間、7本撃ちを連打していたときに真上に放って、今やっと地面に刺さろうと自由落下を始めてきた上空の矢に転移しやがった!!


しかもスキルの上乗せだ!!


そして俺はこのスキルを知ってる。





《矢針刺し》。


確か地面に着弾した瞬間、半径15mの範囲で地面から沢山の長めの矢が生えてきて刺されるというヤバい範囲スキルだった気がする。


つまり…










跳べぇええええええ!!!!



「オラッ!!!!」



ザザザザザザザン!!!!


あっぶねぇ、後少し遅かったら下から串刺しにされてたぞ、全く。






……………だが勿論、跳んで終わりじゃない。


何たって今俺の上には、弓剣の刃で俺のことを斬り殺す気満々の浪江がいるのだから。



こいつ、俺がこの初見殺しを跳んで避けること前提で真上に転移して斬りかかって来たのか?


俺のことを信じすぎたぞ全く、俺がいなかったらこの《矢針刺し》で生えてきた矢で串刺しだっ………………あれ?待てよ?


こいつ《媒介転移》持ってるくね?




こいつ戦闘IQ高すぎだろ………



まあ、俺はそれはそれとして飛行を使った。


ヒューン



「へっ!?」





いきなり空中で真横に高速でスライドしたら、流石の浪江でも驚くんだな。


そう思いながら、俺は無事弓剣を避けることに成功した。



そして…




俺は着地し、浪江はそこら辺の地面に刺さっていた弓矢に《媒介転移》使用したのち、倒れこんだ。




「もう…無理、MP残ってない…」ハァアハァアハァア


「そっか、お疲れ」


俺は労いの言葉をかけつつ、改めて浪江を勧誘し始めた。



「浪江、俺お前と一緒に倒したい奴がいるんだ。お前の力を貸してほしい」


「………こんな惨めに負けた私と?」


「そうだ!!」



「…………惨めの部分は否定しないんだね、無神らしいよ」


「だろ!っでどうなんだ?」


「そもそも、この決闘の賭けの内容が仲間になるだったじゃん。私に拒否権なんてないよ」


「…………いやっまあそれがさ、内容的に無理に来いとはいいずらいんだよね」


「フーン、気になるからオケで」


「……………マジで?そんなノリで?」


「うん、そもそも断る気何て欠片も無かったし」


「そっか!!嬉し!!」


「そう?じゃあ私も嬉しい」


「………じゃ話すよ⁉️一緒に倒したい奴」


「バッチコイ」





★★★★

10分後




「……………安請け負いし過ぎたな」


「だろっ!?本当に良いのか?」


話が進むにつれて明らかに表情が歪んでいった浪江は、そう言葉を溢した。


だが…



「いいよ、一緒に行ってあげる」


「よし!!目標達成!!!!」


「…………ただし、1つ愚痴を聞いてくれたらね」


「ん?勿論聞くが?」


「………ありがと」


そう言ったのち、浪江は話始めた。


「無神君さ、死ぬ程憎まれた経験ってある?」


「え?あるぞ」



………………あっやらかした。


つい前世の話をしちゃった。


あまりにもあいつが印象に残り過ぎて…


ってか浪江が凄い顔でこっち見てくるぅ!!


「………交友関係死んでるとか言ってなかった?」


「あっああ、小説の物語の展開でなぁ、死ぬ程憎まれていた主人公が和解するって話なんだけd…


「何て小説!!」


「えっえと…」


ヤバい、こいつの過去を知ってる手前、これで乗りきれるかと思ったら、よく考えたら逆効果だったぁ!!


どうしよう。


とっ取り敢えず、俺は浪江を落ち着かせる。




そして俺は、落ち着かせている間、とある人を思い出した。







前世で、俺のことを殺してやると言ってきた人物を…



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