第40話 どうせならボスも行こうぜー

森林の迷宮5階層




俺達は順調に5階層まで到達した。


何故こんなとこまで来たんだ、だってぇ?


一応この研修は、初戦さえ済ませればあとは死なない限り自由だからだ。


そして何たって今日のダンジョン研修は、今日の4時間ある授業の内、1時間目のパーティー結成以外の3時間分あるのだ。


つまりダンジョン研修というのは、初戦さえ済ませれば、実質2時間目で帰ることが可能なのだ。


初戦が終われば即帰宅できる。


これは初戦へのモチベや勇気にも繋がるので、毎年こうなのである。



まあ取り敢えず、俺たちは即帰宅できるのを帰宅せずに、この5階層まで降りてきたということだ。



「ね、ねぇ、もう帰らない?このまま進めばボス部屋だよ?ねぇ!帰ろうよ」


「えーでももっとこの迷宮のこと知りたいしなぁ」


「やる気で満ち溢れてるのはいいことだけどさほら、速く帰れる方がいいでしょ?」


「でも、それ言うんだったらこのままボス挑んで6階層のダンジョンゲートから出るのが良いと思いますけど」


「ボスに挑む気だったの!?」


「「勿論」」


俺と境花と光が見事にハモった。


ちなみにダンジョンゲートというのは、セーブエリアにある、1階層の入り口にワープする紫色のゲートと1階層から行ったことのあるセーブエリアにワープできる黄色のゲートがある。


ちなみにセーブエリアってのは名前の通り、魔物が湧かない安全地帯だ。


しかしあるものといえばダンジョンゲートしかないと言われる程に殺風景なのだが、休憩に使えたり、ワープ出来るので帰りの時間を気にせず攻略できる。


非常に便利な場所なのだ。



「いやっダメでしょ、許される訳ない」


「でも多分普通に勝てますよね?」


「うぐっ!」


ちなみに引率は、無理な戦いをしようとした一年生を強制的に帰らせる権限を持っている。


これは成績に関わっているので重要だが、別に無理な進撃をしている訳ではないので、この速く帰りたーい雀先輩の言葉に従う必要はない。


「よしっ!じゃあそうと決まればボス行きますか!」


「もう…やだ」


諦めててウケる。


「…………でも確かにそっちの方が速く帰れるかも(ボソッ)」


………………いや表面は取り繕っとけよ。


まあ、俺が言えた事じゃ無いけど。





★★★★森林の迷宮5階層 ボス部屋の前



「着いたね!」


「やっとぉ?」


「初めての生ボス…感動!!」


「天人、預けてた荷物返して」


「へいよぉ!!!!」


「ありがと、じゃ約束通り帰りにジュース奢るわ」


「ふぅ、チョロい仕事だぜ!!境花だけになw」


「ふぅん!!」


バチコン!


「みぞおちは……アカン」


「もぉ、ついてけない…」


………こんなクソふざけたノリでも、主人公と聖女と俺とレベル差がいれば余裕で突破できるんだから、ぬりぃもんだぜ。



「じゃ、開けるぞ…(みぞおちを押さえながら)」


「せめてみぞおちの回復は待ったら?」


先輩からのありがたいお言葉を完全無視で、俺は扉を開けた。



ガタン!!!!


開けたってより扉に触れたら勢いよく独りでに開いたって感じだけどなぁ!!!!



そんな事を俺は思いながら、俺たちはボス部屋に入る。


そして…


ガタン!!!!


勢いよく閉まった。


これでもう逃げれない(ボスが)


で…


ワォオオオオオオオオオオン!!!!


BOSSであるウルフが、このBOSS部屋のど真ん中に沸いた。


そしてその瞬間…


「フンッ!」ピカーン


《私の英雄》を付与して貰った主人公が、ウルフの首を切り落とした。


バタン


パッラララーンレベルが16に上がりました!!


…………終わったわ。


いや~辛い戦いでしたね、手に汗握りましたよぉ~(白々しい)


そんな事を頭で思いながら、俺は主人公に話しかけた。


「よし、帰るか!」


「うん!!!!!!!!」


…………いや先輩に言った訳じゃねぇよ。


そう頭でツッコミながら、俺達はウルフを倒したことで出現した階段を下って6階層のセーブエリアへと進んでいった。


降りたらステータス確認しよっ。


そう思いながら。





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