第38話 それはボッチに対する悪魔の詠唱

コッケコッコー


パチッバサッ


「……………綺麗な景色」


俺は鶏のような動物の雄叫びで目が覚めた。


そして横を向くと綺麗な景色が見えていた。


この旧寮が少し高い山のような高台にあるのも相まって景色がよく見える。


「………嫌だなぁ」


そしてそう思いながら、俺は朝の準備を開始しようと起き上がった。


ちなみに、起きた俺の真横には、俺の睡眠を妨害しようと必死だったのかもしれない精霊様が寝落ちしていた。


俺はそいつの頭を少し撫でて布団を被せてから、歯を磨き始めた。




★★★★




「何気に登校するこの感じって久しぶりだな」


そんな事を口にしながら、俺は一年の校舎のCクラスの教室に辿り着いた。


ちなみに時間ギリギリ。


「こら!無神君!あと1分でst始まりますよ!!急ぎなさい!!」


「はーい、すんません」


俺は先生に一言謝ってから席に座った。


「はぁ、初日からギリギリとは感心しませんね。まあ、間に合ったので今回はこれ以上言いませんが」


「ざーっす」


「反省しろッ!!」


そう俺にキレッキレの矛盾をぶちかましてから、先生は全員に向き直った。


「えーでは全員揃ったことだし、自己紹介します、羽場江三子(はば えみこ)です。好きなものはせんべいです宜しく」


「「宜しくお願いしま~す」」


こんなノリで、我がクラスの自己紹介が始まった。




★★★★




初めてのstをフル活用して、54人の自己紹介が終わり、ついにあの時間割がやって来た。













………え?俺の自己紹介?


無難過ぎてお見せ出来ないよ。


面白さが足りなかったのだ。


まあんなことはさておき、あの時間。


「では1時間目のパーティー結成を行います、仲良い人で集まって下さい」


仲良い人で集まって悪魔の詠唱が先生の口から放たれた。


さて、ここでみんなに一つ問題だ。


山籠りしてて、唯一の友達も別のクラスの場合、俺はどうなるでしょうか?


孤立する(即答)



どうしろって言うんだ、もうおしまいだ。


そんな風に絶賛孤立しながら頭を悩ませていると、突然後ろから声がかけられた。



「おーい、孤立してたから1人でしょ、一緒にパーティー組まない?」


「境花………さん?」


「あら、嫌だったの?」


「そんなぁ!!!!とんでもない!!!!是非一緒のパーティーになって下さいお願いします!!!!」



「………うるさいわよあんた、目立ってるんですけど」


「あっ!ソーリィ」


そして俺は心の中で、境花に感謝感激雨あられ砲をぶっぱなしていると、とあるほうから視線を感じた。


俺は真横に極めて静かに視線を動かす。


ジィーーーーーー


主人公様ご一行が、仲間になりたそうにこちらを見ている。


…………普通逆だろ。


そう思いながら俺は、主人公ご一行に話しかけた。


「めっちゃこっちにガン飛ばすやんあんたら」


「へ?嫌っごめん迷惑だったよね?」


「いや別に嫌じゃ無いけど、何で?」


「へ?いやっ、僕の使命の為に、貴方と同じパーティーになりたいけど、昨日の夜、疲れが原因で貴方の机を自分の机に見間違えて、ダンジョンウォッチ間違えて先に登録した上で即逃走したのが後ろめたくて一緒パーティーになるために声をかけづらいとかそんなことないよ!!!!」


「損な性格だな」


俺は本音を主人公にぶちかましつつ、左手を見せた。


「あっ!!!!それってダンジョンウォッチ!!!!しかも普通のよりも若干ゴツい!!!!一体何なのそれ!!」


「あんたが俺から奪ったダンジョンウォッチの完全上位互換」


「へースッゴ!?じゃあ後ろめたさはもう要らないな!!どう君?僕たちとおんなじパーティーにならない?」


「…………………だってよ、どうする境花?」


「別にいいんじゃない」


「許可が降りたのでどうぞよろしく、俺の名前は…さっき自己紹介したからいいか、よろしく」


「じゃあ僕も始崎も自己紹介要らないね!!」


「じゃあ私も省くわ」


そんな感じて二回目の自己紹介など要らないという感じで話が始まり、誰がどのポジションに行くかを話し合い、先生に報告した。


無事オッケーを貰った俺たちは、初めてのダンジョン研修の為に、制服から装備に着替えることになった。


そして俺は、三人と別れ、男子更衣室に入っていった。


ちゃんとした初めてのダンジョンを楽しみにしながら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る