第33話 悲しみの主人公




あれから大体12分が経過した。


そして騙し騙し白夜を使ってきたが、飛行の魔力消費がマジでバカにならないので、もう墜落寸前である。


まあ墜落寸前といっても、まだ4000は魔力残ってるんだよな。


だが後6分あるし、何より耐えた後のバフを貰った状態で魔力残ってなくて戦えませんじゃ話にならないからな。


だからもうそろそろ地上戦を開始しないといけない。


それに。



「フッ!トオッ!ヤァ!!」


なんか味方を守る時に使う《勇者の盾》というスキルを使って空中を壁キックの要領で飛んで、俺に物理攻撃を仕掛けようとしている主人公もいるしな。


ふざけんな。


お前そのスキルゲームじゃ味方を守る時にしか使わないかったじゃないか!!


いくらこの世界が現実だからといって無茶苦茶し過ぎだぞ!!(in仮想世界)



………まあ別に白夜の格好の餌になっているだけなので、大した問題ではないが。


俺が怒っているのは、ゲームでは飛行出来るタイプの魔物が来たとき、物理攻撃できないから無力とまでは言わないが確実に主人公弱体化してたからさ。


ゲームでも飛べやとぶちギレただけである。




まあ、それはそうとしてとっとと飛行解除しますか。



そして俺は、俺の居る高度まで後一歩だった主人公を撃ち落としたタイミングで地面に降りる。




ヒューーンドガーーン!!!!



ヒューーンシュタッ!




「やあ!!降りてきたよ!!(爽やかな笑顔)」


「死ねっ!!(爽やかな笑顔)」



タッ!!!!




主人公が、爽やかに暴言を吐きながら俺に斬りかかって来た。


そしてそれと同時に、俺は光剣の一本に柄を生やして迎撃する。



ガキーン!!!!



ギギギギギ


俺はつばぜり合いをしながら主人公に話かけた。



「疲れてないの?大丈夫?」


「疲れは始崎がスキルで癒してくれてるからっ!!!!!!大丈夫かな!!!!」


ガキーン!!!!


これだけズルい戦い方をした上で、つばぜり合いに負けた俺は思った。


チッ!!!!こんのクソチートがァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!


聖女とかズルすぎだろ(我が身を振り替えってみましょう)



まあ、それはそうとしてぶっ飛ばされた俺に追撃を仕掛けに来た主人公に向かって…


「白夜」


手に持っていた光剣を主人公に向けながら、俺は100MPを使って全ての光剣に白夜を展開して。


同時に放った。



チュドーン!!!!



本来であればホーミング機能のある白夜だが。


こんな近くの相手に同時に放てば、白夜と白夜がぶつかり、連鎖的に全て爆発する。


そして俺は、白夜のダメージこそ喰らわないものの、視界が真っ白になるのは不味いので、爆発に飲まれる寸前のところで後ろに下がって爆発を避けた。



スッダダーン



そしてあの爆発を、横に飛んで避けた主人公が向かってくる。


何か企んでる顔で。


何企んでんだろう。


そう俺は思いながら、後ろに思いっきり飛び、白夜を3発放った。


すると…


主人公が前方に瞬時にワープするスキル、《風より速く》を発動して、俺の真後ろに回り込んで来た。


不味いッ!!


俺はすぐさま後ろに振り返る。


そして主人公を見ると…


その顔は笑っていた。


そして無防備に突っ立って居る。


何故?


そう思いながら俺は、高い追尾性能により反転してと共に主人公に突撃した。


当然白夜が俺にぶち当たるが、幽霊のようにすり抜ける。


そしてそれを見た主人公が目を見開く。

















……………ああ、分かった。


こいつこうしたら俺に白夜が当たると思ったんだ。


でも現実は非情で俺の体をすり抜けたと。


悲しいね!!あの最後の空中戦で使えば良かったね!!


「フンッ!!」


ブシュッ!!


ジャキーンキーンキーン!!


ドドドカーーーン!!


白夜3発と光剣3hitと俺の斬撃をもろに喰らい、四肢が色々な方向に吹き飛ぶ。


だが聖女のリジェネですぐ生えてきた。


きっしょ。




「あっぶな!」


「何でまだリタイアしてないんだよ、お前」


「一言で言うなら始崎かな」


「クソが」


俺はそう吐き捨てて、後ろに向かって全力疾走した。



「ま、またかーーー!!」


「おう!まただーーー!!」


そして大体5分経ったので。


俺は少しでもバフの効果量を増やすべく、境花の元へと急いだ。


ふぅ、やっとチェックメイトだ。



終わらせてやる。




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