第32話 切り札
俺がそう言った瞬間、8本の浮遊している光剣の先っぽに魔方陣のようなものが展開された。
そしてその魔方陣の中心に光が灯った。
その真っ白な光はだんだん大きくなり、やがて…
チューーーーン!!!!!チュチュチュチュチュチュチューーーン!!!!!
ビームが放出された。
「へ?」
「行けェエエエエエエエエエエエエ!!!!」
そしてその極光が、主人公の元に殺到する。
「っ!!」
若干反応が遅れた主人公は、後ろに緊急バックしその光から逃れようとするが…
無駄である。
「なッ!!」
なんていったって、ホーミング機能搭載だからなぁ!!!!
ドドドドドドドドーーーン!!!!!!!!
ふぅ、直撃したな。
この白夜は当たったときに半径5メートルのこの世界基準でいくと小規模の爆発が起こる。
あとちなみにだがこの白夜さん、とてつもなくMPを食う。
一回発動したら、全ての光剣に付与されるクソ雑魚追撃金ぴかマンのような特性を、この白夜さんは持ってないのだ。
だから、一つの光剣に対して10MPを消費して一発という、俺じゃなかったら噴飯ものの性能をしている。
………………あれ?お前の魔力7000ぐらいあったよな?
だって?
まあ、その通りなのだが、それはどちらかというと俺がおかしいんだよね。
というのもいつしか話した通り、ゲーム開始時点の主人公の魔力は、大体2000ぐらいある。
そして物語が始まった時点で、主人公のレベルは100である。
そう、何が言いたいか分かるか?
俺はレベル1で成長率+10でなおかつレベル100の主人公の魔力を抜いているのである。
まあ、他のステータスは完敗だろうけど。
確か魔力抜いたら主人公のステータスの平均は1万はあったはず。
このゲーム極端に魔力伸びにくいんだよね。
成長率+10でレベル100でも、他のステータスの5分の1位なのである。
多分今の主人公の魔力は200あるかないかだと思う。
だからこそ、このゲームはMP管理が大変で楽しいんだよな。
はぁ。
まあそれだけ魔力があっても、中盤の雑魚狩り用範囲殲滅魔法。
無属性魔法レベルMaxで覚えられる無尽蔵乱撃(むじんぞうらんげき)は使えないんだけれども。
消費魔力1万って舐めてんのか。
まあ、そんな愚痴はもう終わりにしよう。
そして俺は、着弾したときにまきおこった煙が晴れてきたので主人公の方に目をやった。
リタイアしといてくれないかな~何て淡い期待を抱きながら。
まあこん程度で殺られるほどこの主人公は弱くは無いけど。
そして予想通り、煙の中から無傷の主人公が出てくる。
おっと違ったな、無傷になったばかりの主人公だったな。
「ふぅ、始崎が居なかったらと考えるとゾッとするね」
「あんのクソ聖女がぁ…(小声)」
チッ!やっぱ始崎唯菜(しさき ゆいな)こと聖女は厄介だな。
先に狙うにしても、《私の英雄》が発動してるせいで無敵バリア持ってるし。
もうどうしようもない。
ただ今回の勝利条件は18分耐えるだからな。
耐えればどうとでもなる。
まあ後ろに居る境花が万が一攻撃されないようにもっと気をそらさないといけないけどな。
だからこそ切り札切ったんだよ。
まあこいつの性格上、俺に聖女狙われ無かったら境花のことは狙わないと思う。
なんか妙にこいつ義理堅いんだよなぁ。
だから俺は、流れ弾と聖女のたまに撃ってくる殺意高めのビームさえ対処してたら、あとは18分待耐久するだけ。
楽勝だね(クソがァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!)
「よし、第2ラウンドだ」
「仕切り直したつもりか?いいぜ来いよ!!」
シュン
タダタターンキーンカンカンカンターン
そしてまた同じ様に剣と剣が交わる。
「オラッ!」キン
「よし!!ここだ!!」ダーン
「なっ!!」
「しゃっ!!」
シュッダダーン
そして打ち勝った俺はあえて後ろにジャンプで下がる。
でもって…
「無属性魔法発動、飛行…(小声)」
俺は無属性魔法レベル8で使えるようになる飛行を使い、上に飛ぶ。
かーらーのー
「白夜ぁあああ!!!!一斉掃射ぁああああああ!!!!」
手に持っていた2本の光剣の柄をすぐさま引っ込めて、俺は全ての光剣に白夜を展開した。
空から雨のようにビームが降り注ぐ。
チューンチュンチュンチューン!!!!!!!!
こっちに飛んでくる聖女のビームをビームで打ち消して、残りの9本のビームを主人公に飛ばす。
そしてまだまだ終わらないとばかりに、俺は撃てば撃つ度に白夜を展開する。
MPの大盤振る舞いだ!!
これで耐えて見せる!!!!
そう俺は、浮遊しながらホーミング弾を飛ばす性格ごみクソ野郎になり下がりながら、主人公相手に持久戦を成り立たせていた。
俺のMPとお前の体力、無くなるのはどっちが先かな!!!!
そう己を奮い立たせながら。
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