第29話 バトル・ロワイアル!!



俺のバディになったのは、めいゆうのヒロインの1人にして、一番と言われている女の子である。


名前は七瀬境花(ななせ きょうか)。


で、早速なのだが、何故この子がチョロいと言われているのかと言うと…


ズバリ、物語開始時点から既に、好感度Maxにメーターが振り切っており、めいゆうの醍醐味とも言えるデートイベントのチュートリアルキャラなのだ。


ちなみにデートイベントというのは、めいゆうのキャラと一緒に、遊園地や水族館等に遊びに行くことが出来るイベントである。


同性のキャラとも行くことが出来、キャラの好感度を効率良く上げることが出来る。


そしてまあ、その機能のチュートリアルを担当しているのだが、これがまた酷い。


別にめいゆうが酷いわけではない、ただあまりにもこの時の境花がチョロ過ぎたため、ファンからは激チョロ判定を受けているのだ。



そしてそれもそのはず、何たってチュートリアルであるため、全プレイヤーが通過するのもそうだし、この時の境花は、何を言っても好感度が更に上がるので、プレイヤー全員の脳ミソに焼き付けられたからだ。



ウンコ!って言って好感度が上がったのを見て俺は恐怖を覚えたね!!



まあ、そんな境花さんも原作開始前はもう凄かったというのが、境花と会話している主人公の話で分かっている。


境花のルートを進んでいると、彼女の過去が分かるのだが、これがまあ壮絶なのである。


出生が壮絶なのはほぼ全キャラ共通だけど(ボソッ)


そしてその壮絶な過去の始まりというのが…


まず彼女の誕生日は4月1日。


で、彼女は10歳になった瞬間に職業を獲得したのである。


つまり今現在、彼女は職業を得てから一年が経過しているわけだ。


勝てるわけがねぇよ………



ん、まあ取り敢えず、境花は職業を得て、1年前から魔物達と戦っているのである。


当然レベルは俺みたいなレベル1ではなくずっと上である。


それで、まあレベルの差で周りの人達を舐め腐っていたのが昔の境花というキャラである。(他にも理由あるけど)


だがそれは入学してから最初だけ。


何故かというと彼女はこの星月中学校に入学して主人公に出会う。


そこでナチュラルクソチートの我が主人公がレベル1なのにも関わらずにフルボッコにする。


これが主人公との出会いで、そこからの境花は別人だったと主人公は作中の会話で発言している。



そして俺は冷静にこの情報を思い出して、思った事がある。


何を思ったのかというと。


まずレベル1で主人公が戦うことになるなんていうのは、入学してからしばらくたってからではあり得ない。


レベル上がってるだろうしね。


そして俺は考えた、どうして主人公がレベル1の状態で境花と戦うことになったのか。


多分バトロワこれである。


つまり俺は境花とバディになったことで、主人公と戦うことが運命づけられたということである。


控えめに言って終わりである。


だからなんとしてでも作戦ぐらいは決めて起きたかったのだが。


無理そうである。


そう、今は本来であれば、バディとの仲を深めたり、職業などの自分たちの情報を交換する為にとられている時間であるはずなのに…



「……………」


「……………」


………両者、共に無言である。


「あの~職業は~」


「うるさい」


「……………(諦め)」


こんなやり取りをし続けてはや9分、もうこの情報交換の時間が終わってしまう。


そう焦っていると…




『では今からバトル・ロワイアルを始めます。各生徒はお手元にあるゴーグルを装着してください』



…アナウンスが流れてきた。


控えめに言って絶望である。



『ルール説明を始めます。』


始まらないで下さいお願いします。


『まず現在のステータスが完璧に再現された状態のアバターを使って戦って貰います。体力が無くなったら現実に引き戻されて敗退です。そしてこのバトル・ロワイアルはクラス分けの為のものなので、先に敗退した人から下のクラスに割り当てられていきます』


うん、まあ予想通りという感じのルールだなぁ。


『では開始します…3…2…1…スタート!!』


デュウィーーン




★★★★



仮想世界に入った。


そしてこれは凄い、仮想世界とは思えないほどにリアルだ。


腕を動かす感覚も、大地を踏みしめる感覚も、全て現実と大差ない。


これがこの世界の技術力か…


そして俺は辺りを見回す。


どうやら今回のバトル・ロワイアルの戦場は森らしい。


ただ、俺達が居るところは大きくひらけており、最早クソデカイ広場のようになっている。


そして更に俺は辺りを見回す、すると…



「あれ?おかしいな?俺、幻覚に掛かったか?前方に主人公居る気がするんだけど?気のせい?」


「うるさい」


「あっすんません」


「………あの人のこと知ってるの?」


「え?いやあまり知らないです(大嘘)」


「使えない…(呆れ)」


何か呆れられた、悲しい。


って違う違うそんな事言ってる場合じゃない!!、今はかなり離れてるからそのうちに逃げないと!!












…………でも良く考えたら、境花が逃げる訳無いよなぁ。


しゃーねー、戦いますか…


そうして主人公が居る方に向き直る。


するともう一つ、大事な事が分かった。



何か聖女居るんですけどォオオオオオオオオオ!!!


クソっ!!あの聖女アホ程幸運が高いからな、見事主人公とバディ組んだか。



しかしそうなるとまずい。



元々あんまり無かった勝ちの芽がなくなる。



「……………逃げます?」


「何で?」


「……………いや、やっぱ何でも無いです」


そんな無意味極まりない会話をする。


だがそんな会話してる暇無かった。


主人公様ご一行がこちらに向かって来ていたからだ。


「……………何か来てない?」


「うん、来てるわよ」



来てるわよ。


境花がそう言った瞬間。


こちら向かってビームが放たれた。


チュウィーーン


「もうy…


ドカーン!!!!!




そうして俺達VS主人公様ご一行の、開戦ののろしが上がった。










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