第27話 極者(ごくしゃ)

一瞬だった。


「はーい、獲得なされましたね、では次のかた~!!」


「………………(無言で喜びを噛み締める)」


そして俺は喜びを胸にしまいこみ、父のもとへとてくてく歩いていった。


「とっ父さ~ん、戦闘系だったぁ~(精一杯のポーカーフェイス)」


「おう!当然だな!!」


「あらあら、良かったわねぇ」


「うん!!」


「で、早速で悪いんだがステータス見てみたらどうだ?」


「うん!!勿論!!」


俺の心はまだ浮かれているようだ。


もうこの際、どれだけのクソ職業でも笑顔で許せると思う。


私が神だァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!


「ステータス!!」



__________________________________________________


無神天人


レベルー1

職業ー極者


体力ー145/145

魔力ー7180/7180


攻撃ー145

防御ー139

魔攻ー321

魔防ー198

速度ー176

幸運ー158


スキル


《無属性魔法ー10》


派生スキル


《現剣無双ーMax》 costー10/10



__________________________________________________



………………………………ん?極者?何それ?


てか何で無属性魔法スキルレベル10になってんの?


Maxじゃないの?


「何だこれ?」



取り敢えず俺は職業と書かれた部分をタップして詳細を確認する。



__________________________________________________

極者(ごくしゃ)


{詳細}


何か一つのスキルにとりつかれた人間の総称。


この職業を持つものは、極めようとしているスキルと、その派生スキルと覚醒スキルしか覚えられなくなる。


その代わり、極めようとしている一つのスキルのレベルが際限なく上がるようになる。


そして本来は、一つのスキルには一つの派生スキルしか生えてこないが、この職業で極めようとしているスキルには際限なく派生スキルが発生する。


_______________________________________________



…………ん?


何だこの職業?


更に訳が分からないぞ?


なんだよ極者って?


ってよく考えたらこれって俺の試そうと思っていたビルド全て消え失せたってこと?


そして全クリした俺でも知らないようなスキルしか生えてこないスキルで頑張れと?


ふざけるなァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!











………………ふぅ。


落ち着いた。


俺は、まだ終わった訳ではないことを忘れていた。


この世界の職業には成長率なるものが存在している。


そしてそれは、全ての職業に与えられる、レベルアップした時の上昇率を表したものである。


最高が10で最低が1の成長率は、8個のステータスのどれかに、その職業の特徴に合わせた感じで割り振られている。


え?主人公の職業の成長率?


オール10だよ(諦め)


「よし…取り敢えず成長率を…」


そして俺は、確かな絶望を感じながら成長率の詳細をタップした。



_________________________________________________

成長率


体力ー+1

魔力ー+20


攻撃ー+10

防御ー-10

魔攻ー+10

魔防ー-10

速度ー+10

幸運ー+1



______________________________________________


ん?あれおかしいな…


何かマイナスがついてる気がするんだけど?


防御と魔防に…


てかなんだよこれ!!


魔力+20って何ですか!?








……………ふぅ。


全然落ち着けない。


というかそもそも+10の成長率って余程の極振り型の職業にしかついてないようなもんなんだけど?(主人公を除く)


何で3項目にも+10ついてんの?


そして魔力はお願いだから限界突破しないで…


んで何!-10って!!


これって1レベル上がっても1しか増えないってことじゃん…


私が紙だァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!





…もう疲れたよ…ステータス見てただけなのに…


前世の知識フル無視で、何て職業生やしてんだよ、俺…


そして俺は、食い入るように眺めていたステータスを閉じる。


すると声が聞こえてきた。


「あっあの~天人~、どんな職業だったのか教えて欲しいなぁ、なんつって!」


「あっ、ごめん父さん、集中し過ぎて無視しちゃってた、ごめん。」


「あっうんそうか、じゃあどんなスキルだったのか教えてください」


「ごめん父さん、俺もよく分からない」


「え!?いや名前とかは…」


「極者」


「えっ!?何それ?」


「だから何も分からない」


「そ…そうか」


「じゃあ帰ろう」


「あっうん…(なっ何か滅茶苦茶感情を振り回しながらステータス見てたけど、どんな職業だったんだ?)」


「ちょっとあなた、帰ろうとしないで、まだ星月中学校に登録する作業が残ってるでしょ!」


「あ…やべっ忘れてた、という事で行ってきま~す!」


「はぁ~全くあの人は」


そして俺は、星月中学校に登録するため走り出した父さんの背中を見ながら母さんに聞いた。


「ねぇ母さん、ちなみに俺ってもしかして寮?」


「ん?そうに決まってるじゃない、ここからどれだけ離れてると思ってるの?」


「そっそうだよね、だよね」


そして俺は、必死に書類を書いてる父さんを見ながら、星月中学校について思い出す。


確か公式ファンブックには、日本の地方に一つずつある、あまりにも広大な中学校の一つであり、星月中学校はそれの近畿地方担当の中学校だったはずだ。


ちなみにだが、どうしてこんなにもアホ程広大な中学校があるのかと言うと。


義務教育が始まったばかりの中学生はあまりにも弱く、犯罪等に巻き込まれてしまうケースが多発したからだ。


なのでその対策として、各地方にクソデカイ中学校を作り、その地方全体の生徒を保護したのだ。


「はぁ~また離れ離れか~」


「まあまあ天人、そう気を落とさないの、きっと沢山友達出来るわよ!!」


「ん…まあそうだよね、うん!!きっとそうだ!!」





そして俺は、また親と離れ離れになることに対し、気持ちを切り替え、入学当日になるまで、親と沢山談笑した。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る