第19話 修行ダイジェスト
あのサンドバック君と出会ってからの地獄の日々は5日間にものぼった。
そしてこれは、その5日間の成果と過程をダイジェストにまとめたものである。
どうか同情しながら見てほしい。
★★★★
1日目
サンドバッグ君を102回戦闘不能にし、多大なダメージを全身に貰った。
刀の使い方が分かってきた。
風呂に最大級の感謝を伝えながら、1日が終わった。
大分戦い方を理解してきた。
★★★★
2日目
サンドバッグ君を148回戦闘不能にし、まあまあなダメージをまんべんなく貰った。
だいたいの動きが読めるようになった。
風呂、ありがとう。
★★★★
3日目
サンドバッグ君を308回戦闘不能にし、肩にいいのを貰った。
もう見きった、明日から無双してやるよ、サンドバッグ君。
★★★★
4日目
サンドバッグ君を36回戦闘不能にし、全身にアホみたいなダメージを負った。
何かこのサンドバッグインフレし始めたんだけど?
明らかに格が違う気がする。
★★★★
5日目
この割と広い部屋で、俺は木刀を地面に落とし、片ひざをつく。
「………」ゼェハァゼェハァ
そして肩で息をしながらあまりにも強いサンドバッグに向き直る。
こいつは今、起動しておらず、一ミリたりとも動かない。
というのも、こいつ俺に一撃いれた瞬間に起動停止するんだよな。
そして俺が一撃いれても停止する。
そしてこの繰り返しでこの4日間、毎日強くなるこいつにボコボコにされていたのだが、4日目から面構えが違う。
何かいきなりアホ程強くなったのだ。
そして今だいたい100回目位の挑戦なのだが、勝てる気がしない。
「どうすんだよ、これ?」
シンプルに勝ち目がないのだ。
「取り敢えず、休憩!!」
俺は部屋の角に置いていた水筒を手に取り、口に流し込む。
「ぷはぁあああ、上手い!!」
おっさんみたいな声をあげ、水に感謝する。
そして、ふと気づいた事を口にする。
「…体力大丈夫か?これ…」
俺のステータスの体力ゲージが底をついてる気がしたので、すぐさま確認する。
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無神天人
レベルー無し
職業ー無し
体力ー82/145
魔力ー7180/7180
攻撃ー145
防御ー139
魔攻ー321
魔防ー198
速度ー176
幸運ー158
スキル
《無属性魔法ーMax》
派生スキル
《現剣無双ー2》 costー2/2
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うおーぉおおおお!、めっちゃ体力減ってる、あっぶn…ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
派生スキル生えてる!!
よっしゃァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
……………ごほんごほん、取り乱した。
俺はオーバーヒートする脳ミソを、何とか凍らせ、めいゆうでの派生スキルの詳細を思い出すしよう!!
めいゆうの派生スキルと言えば、物語の中盤から最終盤までお世話になる、元となるスキルのスキルレベルがMaxの時、その元となるスキルを使いまくった際に出来る、激強のスキルである。
こんな序盤も良いところの状態でゲット出来るなんて、夢みたいだ。
………俺がこんなスキル知らなければなぁああ!!(豹変)
そもそも無属性魔法の派生スキルは《無我夢中》だったはずだ。
派生スキルは絶対に元となるスキルが同じなら、同じ派生スキルが出来るはずなのである。
こんなのおかしい、俺だけが違うだなんてあり得ないのである。
とっ取り敢えず、このスキルの詳細を調べなければ…(動揺)
「おーい無神、おーい!」
は?
何時の間にか目の前に爺が写っている、幻覚だろうか?
「何の御用ですか?」
「いやはやまさかと思って来てみたのじゃ、予想通りで正直ドン引きしておる」
「そんないきなり引かれても困るんですけど、何を思って来たんですか?」
「ふぉふぉ、サンドバッグ君にきまっておろうが!全く、こんな早くに成長限界に達するなんて、休憩は取っていたんじゃろうな?」
「はい、この5日間で合計10回程」
「……………(ドン引き)」
無言で引かれた、何で?
てか成長限界って何?
「成長限界って何ですか?」
「ふぉふぉ、よく聞いてくれたの!成長限界とはズバリ!最後のテストなのじゃ!!今までは同格の相手との経験しか得れんかったが、これで格上との戦闘経験も積めるのじゃ!」
めっちゃドヤ顔しながら、そんな説明をする爺に殺意を沸かせつつ、聞き入る、すると。
「あっ、言い忘れておった。これ倒すまで帰ってくるなよ」
「何言ってんだあんた……何言ってんだ…(絶望)」
そして爺は言うこと言ったら足早に去っていった。
俺はその背中を呪いながら、どうやって倒すか、思考を巡らせ始めた。
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