第18話 サンドバッグ君じゃ


早朝、クソほどに燃えたぎる太陽の光が、俺の眼球を照らしてくれたおかげで目を押さえながら起床する。


「………よく寝た」


昨日は大変だった。まさか初日に、あんな倫理観の欠如した修行をさせられるなんて。


おかげで昨日はぐっすりだ(溢れる殺意)


「はぁ、起きるか」


そう口にしながら、俺は服を着替え始めた。




★★★★



そうして俺は朝飯をほどほどにセーブしながら食べ(昨日は食べすぎたせいで2発追加で貰ったため)、皿を洗い、またもや道場に呼び出されていた。


「ふぉふぉ、よう来たの!!!!」


「爺さん、朝から暑いですよ」


「確かに、ワシも少し汗をかいてしもうた、これだから年はとりたくないのぉ」


「………そうっすね(素っ気ない)」



オメェも暑いんだよ!!



そう言いたくなり唸る喉を、俺は全力をもって鎮める。


「で、またあそこ行くんですか?」


俺は内心震え上がりながら質問する。


すると。


「いや?もうあそこには行かんぞ?」


「え?マジで?(安堵)」


「マジで」


よっしゃァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!


あんな地獄二度とごめんだった俺は、心の底から喜びの声をあげる………心の中で。


「では何処に?(ウッキウキ)」


「なんじゃいきなり笑顔になりよって、そんなに嫌じゃったのか?」


「はい(ガチトーン)」


「じゃろうな」


俺は殴りかかろうとする右手を左手で押さえる。


「師匠、今のうちに逃げてください、もう…持ちません」


「そして今回行くところはすぐ近くじゃ(スルー)」


キレイにスルーされた俺は、しぶしぶ師匠に付いていく。


浪江はお座りしていた。



★★★★



俺は何か凄い仕掛け盛りだくさんの秘密の階段を使い、あの屋敷の地下にへと足を運んでいた。


「毎回思いますけど、雰囲気だけはいっちょ前ですね(激舐め)」


「ふぉふぉ、そう言っておれるのも今のうちじゃ、呵呵!!」


そんなアホみたいなやり取りをしながら、やたら雰囲気のある道を進んでいく。


そして一分位歩いたところで、目的地と思われる場所へと到着した。


そしてここは。



「おおおお!!すげぇ!!秘密基地だァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


「まあ、雰囲気はな」


いたって冷静な爺を横目に、俺ははしゃぐ。


靴、舐めましょうか?(激舐め)


「おいそろそろ現世に帰ってこいアホ弟子」


「はっ!」


爺の一言で俺は正気に戻る。


この溢れる殺意が、俺の正気を取り戻させた。


「して、ここでは何をするんですか?」


「ん?ああ、ここは代々伝わる秘密の訓練場じゃ」


「何が秘密だ、最早この屋敷が訓練所だろ」


「知るか、増やしまくった先代に聞け」


そう話ながら爺は奥にへと進んでいく。


「これじゃ」


「………これは…ロボット?」


「戦闘訓練用のサンドバッグ君じゃ二度と間違えるな」


「どう考えてもそっちの方がひどいよ!?」


そんなアホな事を言い合いながら、爺は立て掛けられている木刀を俺に投げる。


「どれ習うより慣れろじゃ、死ぬ気でやれ!」


「へ?」


木刀を受け取った瞬間、いきなりサンドバッグ君が起動する。


そして。


ブンッ


俺に向かって木刀を振り下ろして来た。


「無言で木刀を振り下ろすな!!」


俺は精一杯の抗議と共に、カウンター。


そしてどうやら俺のカウンターが決まり過ぎたのか、動かなくなる。


「………何これ?」


「サンドバッグ君じゃ」


いやもういいよ!何その名前。


「まあ、冗談はここまでにしておくかの」


「はよしろ」


「全く、失礼な弟子じゃのう。これはサンドバッグ君、お主の少ない戦闘経験を何とかするための機械じゃ」


「へぇ~、でも一撃だよ?」


「調子に乗るな小僧、このロボットは倒れる度に強くなる、次はこう行かんぞ?」


「ハーハハーン?言ったな?今回の修行は無傷で生還してやるよ」


「じゃあ浪江の修行に行ってくる」


シュタタタタタ


「………走って行きやがった」


そして置いてきぼりにされた俺はロボットに向き直る。


「さあサンドバッグ野郎!!、パーフェクトゲームで終わらせてやるよ!」


そう啖呵を切り、俺は起動したサンドバッグに向かって走り出した。



★★★★





カポーン





修行が終わり、俺は風呂にへと足を運んでいた。












「………何でこうなるのかな?」


俺はボロボロになった体を、風呂の湯で癒しながら呟くのだった。
















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