第17話 第六感

side…爺



「ふーふふーん(笑顔)」コトコト


ワシの名は日ノ出聡我(ひので そうが)


今現在、ワシは可愛い弟子達とワシのために晩御飯を煮込んでいる。


「奴は、今風呂に浸かったところかの」


今頃あのワシも把握しきれていない効能に、全身を治療されているところじゃろう。


まあ、それは今はどうでもよい。


問題なのは、奴があの地獄の中、三発しか喰らわず、無事?生還してきたことじゃろう。


「ふ~うぅ」


料理が一息ついてきたので、鍋に蓋をして近くにある木で出来た椅子に座る。


そして昔ながらの台所の熱気に対抗するため、うちわをあおぐ。


少し、クールダウンしてきた。


さっきまでの沸き上がるような高揚感は消えている。


そしてワシは、多少冷静になった脳ミソで、奴が帰ってこれた理由を考える。


………というかそもそもあの修行は、三歳でワシの動画での剣をとらえていたと、この前の朝食の時、奴の父に教えて貰ったからやったのだ。


…目が良い、と思っていた。


だが、違う。


あれは天賦の才など優に超えている。


それにあの年で身体強化など、どうやって覚えたのかワシも分からない。


今でこそ元が前に付くが、と呼ばれたワシでさえもだ。


何もかも、奴には常識が通用しない。


あの丸太を受け止めた時もだ。


何故戦闘経験もないのに、気配を察知し振り返り身体強化を発動させ受け止めるなんて芸当が出来たのか。


知りたかった。


だから本来は目隠ししか着けるつもりはなかったのじゃ。


目に頼りきる戦闘をしないようにするためにつれていったのじゃから。


だが奴は全ての感覚が優れておる。


それを理解した時、ワシは奴にフル装備させておった。


そして観戦しておる途中で正気に戻り、外そうと思ったのじゃが。


何故か避けておった。


何も分からないのに感覚だけで完璧に避けておった。


そして気づいた。


全ての感覚が優れているんじゃない。


全ての感覚を、第六感が支えておるのじゃ。


その結論に辿り着いてから家に着くまでは。


隠居前に、強敵と戦うことになった高揚感と似たものを感じ、久々に全力疾走したと思う。


おかげさまで足がクソ痛い。


まあ、足は奴用に作った漢方を使えばいい。


問題は。


「どうやって育てやろうか、天人よ(悪人面)」


……………ブシャージュゴー


そう口にしたとたん、鍋が沸騰し、ヤバいことになりかけたので。


ワシは急いで火を止めた。


危なかった(ガチトーン)








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