第15話 天人、怒りの帰宅
天人をあの霧に封印してから時間が経ち、午後7時を回った頃、この鬼畜爺は、道場のはじっこで、すり鉢を使い、何らかの薬を作りつつ、浪江の素振りを見ていた。
「ふぉふぉ、疲れてきたか?重心がぶれぶれじゃぞ?今日は終わりにしようぞ?」
「うん!つかれた…」ハアハア
「(うん、やはり我が孫は世界一可愛い)」
そんなアホな事を考えながら、無心で薬を作っていると。
「おじいちゃん、なんでくすりをつくってるの?」
浪江が質問してきた。可愛い。
「ああ、これか?これは天人用じゃ、この程度の量じゃ足りんだろうがな」
「?(小首をかしげて)」
「(ずっきゅーん!)」
激チョロ爺が射ぬかれたのと同時に立ち上がった。
「8時になったらあの小僧を迎えに行かんとな」
「そうなの?いってらっしゃい!!」
「(ずっきゅーん!)」
2hit、100発100中である。(爺がチョロいだけ)
そしてそのとき。裏口に足音を、この爺は感じた。
一瞬爺の両目が見開かれる。
だが、その目を即座にクールダウンさせ、あり得ないだろうと確信する。
だが、その期待を裏切るように足音は裏口に近付いていく。
爺はここ数年で一番の驚きを感じながら、裏口へと急ぐことにした。
「すまんが浪江、裏口にいってくる」
「うん、まってるよ!!」
ずっk……以下略
★★★★
「死ぬか思た」ハア…ハア
俺こと無神天人は、死ぬんじゃね?と思いながら、この取れない目隠しにぶちギレつつ、ついでに気配すら感じ取れなくなる耳栓に怒りを覚え、爺に確かな殺意を覚えながら帰宅した。
そしていきなり。
ズボッ
という気の抜けた音と共に、目隠しが外された。
「よう帰って来たのぉ(驚愕)」
「テメェが帰ってこい言うたんだろがァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
俺はすぐさまこのクソ爺に殴りかかったが、ヒラリとかわされた、ずごく疲れているとはいえ、当たらなかったのはシンプルにショックである。
「オメェ、マジで覚えてろよ…(殺意max!!)」
「そんな三下のセリフ、どこで覚えたんじゃ?」
いつか…いつか絶対一撃喰らわす(確かな決意)
そう思いながら、俺は鼻栓と耳栓を装備から外す。
「あっそうそう、ご飯作るからはようその汚い体を清潔にしてこい」
「………」ブチッ
そう言われ、俺は帰ってくるときに転びまくって汚れた体を洗いに大人しく風呂に向かうのだった。
キレながら。
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