第13話 弟子入りと別れ

あのあと俺は、アホほど旨い料理を食べ、アホほど広い風呂に入り、アホほど快適な部屋で一夜を過ごした。


そして早朝、特に名前は知らないが何故かよく聞く鳥の鳴き声で、目を覚ました。


そしたらもう俺以外の布団は無くなっており、荷物も、俺以外の物が無くなっていた。


普通にビビったが、いきなりコンコンとふすまを叩く音がしたと同時に、「はいりまーす」という声が聞こえ、ふすまが開いた。


バンッ


「どうもなみえです!!!!!!!」


こんな朝っパラから元気なんて、子供の体力は羨ましいな~


いや、俺もやろっ!!!!


………………………。


糞程つまらない乗り突っ込みをしたおかげで目が覚めてきた。


「どうしたの?」


「ごはんのよういがととのいました、きてください、あんないします!!」


「ああ、分かった」


そして俺は浪江の後に付いていく。



★★★★




「とうちゃく!!」


「うん、ありがとう浪江」


何か滅茶苦茶いい匂いするな~


そう思いながら俺は、だだっ広い。畳が敷き詰められた和室へと入った。


そしてあの爺さんと、父さん達が滅茶苦茶デカイ、木でできた机に、尻に座布団を引き、座っていた。


当然机の上には、うまそうな、だけどささやかな、日本を感じられる飯が並んでいた。


「おー、やっときたのかの?」


「おはようございます」


「挨拶できて偉いの~(笑顔)」


あ、煽られた感じがする。これが転生の弊害?


「「おはよう」」


「うん、おはよー」


俺は両親におはようを飛ばし、余ってた座布団に腰をかけた。


そしてまず、味噌汁を飲むためお椀を持とうと手を伸ばした時、爺から声を掛けられた。


「そうそう、お主の親、このご飯食べたら御の武に帰ってもらうからの、しっかりと話をしておけ」


え?親父帰んの?嫌だけど?


「父さん帰るの?」


「そうだぞ、ついでに次会えるのは来年になるぞ」


「ちょっとお父さん、つまんない冗談を言うなよ~………………………………マジで?」


「マジで」


くそがぁあああああああああああああ!!!


心の中で叫びまくる


「てか、そんなのアリなの?特例休暇貰ってるんでしょ?」


「ああ、市役所にしっかりとした書類を提出したら、保護権はこの爺さんに移る、俺がいなくなっても頑張れよ!!」


「んな理不尽な~!!」


「ちなみに、後4年は此処にいることになったから、頑張れよ!!」


何て?(絶望)


何で一撃喰らわせるために弟子入りしたのにこんなにガチな弟子入りになってんだ!!(理不尽)


「大丈夫よ、一年に3回は会いにくるわ、安心して」


一年に3回しか親に会えないのは、おかしいのではないだろうか?


嫌、この世界では一般的なのかも知れない、前世の常識を持ち出すのはよくないだろう、反省反省。


そして食事を食べ終え、俺は俺の親を見送った。






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