第2話 秀英、顔赤くなる

階段をひたすらに降りた先にある「食堂」

俺と秀英は昼飯を食べるため、今、長蛇になったいる列に並ぶ。

「お、おい、慎。」

「ああ?なに。」

「いつもこんなに並ぶっけ?」

「バカか。今日は村田先輩が、調理部長として食堂のおばさんと一緒に頼んだメニューを作ってくれる日だろ。まさか、忘れてたのか?お前。」

「うっそ!今日だったん⁉︎俺、日にち間違えてたかもだわ…」

「ふっ、バカめ。俺はちゃんと把握してるんだからな。」

「うるせ、この妄想バカが!」

「お、おい、あんまでかい声出すなって。変な勘違いされるわ。」

「ごめんwごめんw」

こんなやり取りを秀英としている内に俺たちの番になっていた。食堂というのは、やはり良い。この味噌汁や生姜焼きの匂いというのは本当に最高すぎる。

「おい、慎。お前、どうすんの?俺は決めて、もう伝えた。」

俺が「食堂」という良さに浸っている間に秀英は、もう頼んだらしい。

「えっ、はや。って村田先輩⁉︎」

「ふふ。慎君じゃない。久しぶりね。」

「お久しぶりです!村田先輩!」

村田先輩はよく公共の図書館で出会う先輩で、とても良い人だ。俺はよく勉強を教えてもらっている。もう、とにかく良い人!良い人っていうか優しいし、見た目とは裏腹にすっごく真面目だ。

「チっ、早くしろだし。」

小声で俺の後ろにいたチャラそうな先輩が言った。

「やべっ、慎、早くしろ!」

「お、おおう。」

動揺しながらも俺は、メニュー表に手を伸ばし、指を指す。

「いつもので。」

「うんっ!分かった、待っててね。」

村田先輩はにこりと可愛らしく笑って、頷いた。

そんな姿に俺は、いや、周りの男子のほとんどが顔を赤くして、村田先輩に見惚れていた。もちろん、その中に秀英もいた。ポーッとしている。

やべ、秀英が!

俺は、秀英の頭を殴るような勢いで、頭を叩く。

「いって!おい、なんだよ!」

「行くぞ、バカが。」

「はあ?お前に言われたかねえわ!黙ってろやし!」

今のうちに説明しておくと、秀英は恋に落ちやすい。つまり、今のような状況になると、落ちそうになるのだ恋に。俺は別に構わない。だが、こいつが恋したら、本当にヤバいんだ。例えば、束縛が激しくなり、相手の気持ちを考えて行動するのが難しくなる。また、相手の子以外、見えなくなる。そんな感じだ。だから、やばいのだ。こいつ、顔はいいんだけどな。

「なんだよ、ジロジロ俺を見て。」

「別に。ほら、ここ空いてる。」

「本当だ、じゃ、さっさと座ろうぜ。」

「はいはい。」

俺たちは、その場で頼んだメニューがアナウンスで呼ばれるのを待った。ここで秀英はスマホを触り出したため、俺は呆れた顔でそいつを見た後、俺もスマホを見ようとしたが、やめた。


俺の横を通り過ぎた。

とてもいい香りだ。カレーだろう。


「お腹、空いた。」

ボソリと呟く。俺はそんなことを呟いて、気晴らしに窓の外を見た。

太陽が鳥が飛べむほどに、暑さを地球に送っているのか、いつもは何羽か見る木の側で飛んでいる鳥はいなかった。よく見ると、みんな木の葉っぱを日陰にして、寄せ合わず、一定の距離を空けて枝の上にとまっている。

「ぷっ、」

つい、面白くなって笑った。

「は?怖っ、マジ怖いんですけど。」

「えっ、」

「また妄想か何かですかー?」

「違うし、そんな言うなら見ろよ、あれ。」

俺はあの鳥たちの方を指差す。

「え…はっ、何あれwあっははは!」

そんなにウケるかよ…なんて思いながら、俺は呆れているだろう顔を秀英に見せる。秀英はハッとして、俺を睨む。

「ふんだ、何がおもろいんだよ。あれ。」

「はあ〜?よく言うわ。お前、笑ってただろ。」

「そんな覚えはありませんね〜」

「もう、うるせえわ。黙って、スマホ見てろ。」

「へいへい。」

秀英は、またスマホを触り出した。俺もなんだかんだで、スマホを触る。ニュースアプリを開き、いくつかの記事を読む。



すると、ピコーンとまた閃いた。

スマホから謎のウイルスが広がり、現実世界でも感染してしまう。そんなウイルスが一人の少女を人質として誘拐。政府すらも動き出すが、それでもウイルスはいうことを聞かない。そこでウイルスは言う。

「一人の勇者を呼ぼう。名は、そう慎。」

世界中の「まこと」を政府は探して、見つけ出してはそのウイルスに聞く。しかし、ウイルスは「違う」と言うばかりだった。そんな中で、俺を–––



とんでもない痛みが頭に伝わる。

「いって!」

この痛みは後ろからだった。

「はあ?誰だよ。って、羅美菜(らみな)!」

「また、変な妄想してたでしょ?ったくもう、ほらもう一発!」

「わああ!やめろよ!ちょ、うぎゃ!」

「何が、やめろだよ、どうせあんたらも村田先輩狙いでしょ?」

デコピンをしてこようとする手を止めて、俺と秀英を見て言った。

「はあ?そうですけど、何が悪いん森さん?」

秀英がスマホを触りながら、逆ギレする。

「森 羅美奈」、彼女は高校からの出会いでよく俺に、デコピンやらノートを勝手に借りていくというヤバいやつだ。俺はまあ、別に、好きとかそういう感情は特に湧いてこない。そいう目では見れないって言うか…


「カレーライスと生姜焼きを頼んだ二名のお客さん、えっと、25番さん!出来上がりましたので、受付に来てください。」


食堂のおばちゃんの声だ。ここにいる何人かの男子が、すっかり村田先輩がアナウンスするのではないかと黙っていたのか、男子たちががっくしとした表情をしている。

「行くぞ、慎。」

「分かった。ちょ、羅美奈、この席で一緒に食べようぜってことで、座って席取りでもしてて。」

「はあ?まあ、空いてる場所ないし。分かったって…もう行っちゃった…」

俺は、すぐに村田先輩の元へ向かう。

「お待たせ、二人とも。はい、どうぞ。」

村田先輩が嬉しそうに言った。俺は元気よく、

「ありがとうございます!」

と答える。秀英は、そんな俺を呆れた顔で見た。

「ありがとです。村田先輩。」

「いえいえ。」

そんな秀英も顔を赤くしていた。

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