第2話 「人生、最良の日」お題・こもれび
今日はいい天気だ。そよそよと、柔らかな風が
男は大木の根元に腰を下ろし、それを見上げていた。
青々とした葉を、生い茂らせた樹木。
そこから、優しいこもれびが男に降り注いでいる。
──ああ。本当にいい日だ。
男には親兄弟もなく、成人してからはある組織に入り、小悪党として生きてきた。生きるためには、大抵のことをやった。その結果が。
「……ま、こんなとこだろうさ」
ナイフが刺さったままの、脇腹を押さえながら、そう言った。
男はある筋から、敵対組織がでかい金を動かそうとしてるとの情報を仕入れた。
それを横取りしようとして単独で動き、失敗した。それだけだ。
ろくでもない人生だったが、
こんな、こもれびの中で
「ああ……本当に、今日は……」
男はナイフを引き抜き、投げ捨てる。
そして、
「人生、最良の日だ──……」
と、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます