第4話

力がでない。

にくきゅうを踏みしめるように力を込めようとするが、力が抜けていく。

もう、戻れないのだ。

俺の家はない。

餌も見つけられない。

俺はダメな猫だ。

このまま、死ぬのか。

もう、それでもいいか。

いいや、と諦めた。


「みい」

誰かがないている。

「みい」

悲しい声でないている。

「…みい」

俺が、泣いている。


生きたいと泣いていた。





泣きながら公園の真ん中で寝ている子猫を見つける。

ふわふわの黒猫は首の後ろをそっとくわえて持ち上げると、近くの段ボール箱に入る。

ひと舐めして大きな体で子猫を包み、丸くなった。

低く喉をならして。

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