第2話

暗くなって明るくなって、ひもじくてとうとう箱に前足をかけた。

箱のなかは安全だけれど食べるものも水ももうない。

おそるおそる顔を出すと、外はとても広かった。


壁がない。てんじょうは青いのに白いのが動いてる。

そびえ立つなにかが見える。あれはなんだろう?くーらーで揺れてるみたいだ。見とれるうちにころりと転がって箱の外に尻をつく。

この床は黒くてあったかい。ゆかだんか?

前足でぺたぺた触ると細かいなにかがつく。舐めたらじゃりじゃりした。これは食べれない。


そろり前足を出す。右、左、後ろ足。誰もいないな。

ゆっくり動いてそびえ立つなにかに近づいたらその影に隠れる。

見上げるほど背の高いなにかにちょんと足をつけたらがさがさしてる。

遥か上にはわさわさしたのが揺れてる。飼い主がもってたあふろに似てた。

壁じゃないけど、爪がうずいてぱりぱりと爪をといだ。

怒る飼い主はいない。

飼い主は元飼い主になった。


ぴゃっと飛び出して走り出す。

どこまでもどこまでも走れる。

壁はないし怒って止める元飼い主もいない。


俺は野良だ。

野良のチャトだ。

自由な野良になったんだ。



しばらく走り回って、疲れと空腹で目を閉じる。

ここは自由だけど、餌は自分でとらなきゃないんだ。

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