第26話 サンダーデストラクション。

ヴァンの声が聞こえたジェードは、「さて、父さん。一度気絶してくれよ。話はそれからだ」と言うと、ミチトは「君達こそ目を覚ませ!あの男に操られている!」と言い返す。


「それは父さんだっつーの!」

ジェードは滑走連斬を始めると、ミチトは無意識にジェードに張り合って滑走連斬を使う。

それは真っ向勝負でうわ被せて子供達に諦めさせたい意図があった。

四度目の連斬の際にヴァンの指示でコードが連斬に参加をしてミチトの拍子を崩すと、ジェードが一撃を入れてミチトが吹き飛ぶ。


起き上がりのタイミングを狙いコードがアースボールを放つと、ミチトは慌てて「コードが術!?」と驚きながらアースボールを相殺する。その直後、今度はシアとコードでミチトを責め立てる。


「コード、無限機関で勝ちたいのを今は我慢して、シアに二刀剣術のタイミングを渡して」

「シア、アクィさんの六連突にこだわらないで、やるなら術、三連、術、三連にして」


コードもヴァンの言うことなら仕方ないと従い、シアもやる事が見えて「わかった」と言ってくれる。


ミチトはコードの性格を理解していて無限機関を誘うが一向に撃ってこない。

驚きと苛立ちの中、無限機関のタイミングで術が嫌いなシアがサンダーフォールを放ってきて、かわしたところに三連突が入り、また術攻撃で再度三連突が入る。

そして体制を崩した所に、コードが「奥義!正拳突き!」と言って強烈な正拳突きを入れた。


再び吹き飛んだミチトが起き上がってヒールを使うタイミングで、「ロゼ!交代!フユィ!ベリル!行って!」とヴァンが指示を出す。


「ロゼ!無理にたくさんの術攻撃やスタイルの変更はいらないよ。拳と術だ。術も多彩さなんていらないよ」

「了解だ。従ってみる」


「フユィは二刀剣術。とにかく速さで負けないで!」

「わかりました!」


「ベリルはどれも器用に使えるんだよね?術の崩し方は伝心したから使って」

「ありがとう!これ凄いよ!早速使うね!」


ロゼが拳のインファイトを挑むとミチトは目を丸くする。

子供の頃は無手でミチトに並ぶと言っていたが、いつの頃からか術や剣術を多用するようになったロゼが、他の攻撃をしないで真剣に拳術だけで迫ってくる。

そしてミチトの思った通り、ロゼは多彩な攻撃よりも一つにこだわった方のが強くなる。


今もかつて真剣勝負をした日以上に善戦していて、本人も驚いている事が拳から伝わってくる。


そこに到着したフユィが「パパ!止めるわ!」と言うと、これでもかと二刀剣術を放ってくる。

真式になり、自分の理想の形を更に体現できるようになったフユィはコードの戦い方に近い。

何がなんでも自分の流れに持ち込む。


ミチトは負けていられないと術攻撃も使った。

それこそ本気で放ったが、末娘のベリルが余裕と言いながら全てを相殺する。

まるで夢を見ているようだった。


「うふふ。ヴァン!最高よ!若い時に出会っていたら惚れちゃっていたわ!」

ベリルの言葉にミチトは殺気を放ってヴァンを睨むと「アイツ…絶対に殺してやる!」と言う。

シアも「確かに、格好いい子なのに守ってあげたくなるかも」と続き、二刀剣術を放つフユィも「わかるわ!」と言う。


「隙あり!」とミチトを殴ったロゼも、「だろ!俺やトゥモが可愛がる気持ちわかるだろ!」と言って楽しそうに話すが、そんな中でミチトはどんどん混乱していく。


しかもヴァンの方ではラミィが「うふふ。精神攻撃は絶大ですわ。ヴァン、今のままシャヘルとユーナは警戒に充てるのよ?」と言いながら、「コーラル、右手でヴァンに抱かさって、ヴァン、左手は私ですわ」と言って抱きつくと、密着して「集中は切らさない」と耳打ちする。


ヴァンもコーラルも真っ赤になるとミチトも別の意味で真っ赤になる。


ヴァンが慌てて「ラミィ!行って!フユィとベリルはジェード達の所に下がる!トゥモ!ロゼ!タシア!出番だ!」と言いながら指示を出す。



「俺の大切な娘達をたぶらかす悪魔め!殺してやる!サンダーデストラクション!」


キレたミチトは無意識だが、サンダーデストラクションを使いたがる。

それは先ほどウシローノ達に放った時にトゥモとヴァンは見抜いていた。

それによりミチトがしびれを切らしてサンダーデストラクションを放つ瞬間を待っていた。


辺り一面を覆う雷雲を見て、ヴァンは「コーラル、ヘマタイト、ペリドット、俺たちの周りにアースランス!ただ撃つんじゃない!集中して迎撃だ!」と言うと、ラミィ達に「ラミィはロゼと一緒にウインドブラスト!出来たらさっきのライブが使った奴」、「トゥモ、孤高なんだから突き抜けて」、「タシア、サンダーインパクトの無限斬だ!」と指示を出すと、タシアだけは「ヴァン!コーラルに頼んで、お父さんが吹き飛んだ瞬間に、お母さんの所に転移術で飛んで奪術術。きっと奪術術だと効果は一瞬だけど、その一瞬でいいからお母さんを正気に戻して!お父さんが吹き飛ばなければ隠し球だ!」と逆に指示を出す。


追いついたラミィが「ロゼ!」と言うと、ロゼも「見てたから撃てる!撃つよラミィ!」と声をかける。

2人は同時に「「ウインドストーム」」と言って、ライブの使った術を放ってミチトの雷雲を掻き消そうとするが、やはり術の中心にある雲は掻き消えない。


それを見てタシアが「消えないなら集めて!全部僕の直上だ!」と指示を出すと、ラミィが「了解ですわ!」と言った。


辺り一面を覆う雷雲を1箇所に集めると、信じられない量の落雷が始まる。


落雷のタイミングでタシアが「うぉぉぉぉっ!サンダーインパクト!二刀剣術!無限斬!」と言ってユーナ以上の無限斬でミチトの雷を弾き飛ばし続ける。


このタイミングでヴァンが「トゥモ!」と声をかけると、トゥモは「わかってる!」と返し、「耐えてよパパ……増幅術!サンダーデストラクション!!」と言った。


トゥモのサンダーデストラクションはミチトのものに見劣りしない勢いと量で降り注ぐ。

ミチトはアースランスで迎撃をするが、「孤高の名は今だけ無視だ!ロゼ!ラミィ!」と言って2人にもサンダーデストラクションを撃たせると、遂にミチトのアースランスを破壊してミチトにサンダーデストラクションとタシアの無限斬が当たった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る