第24話 アクィとの決着。
イブは目の前のロゼとヘマタイトに苦戦していた。
善戦は可能だが、ここで全力を出してミチトの援護に向かえないのは良くない。
普段のミチトなら問題ないが、今のミチトは混乱もあってか弱体化している。
忌々しそうに「くっ…、ロゼ」と言うイブに、「何さ母さん!俺に容赦はない!ヘマタイト!適宜俺の動きとサルバンの動きを使い分けるんだ!」と指示を出すロゼ。
ヘマタイトは「わかりました!ですが迂闊では?」と言ってロゼを見るが、ロゼは「何言ってんの?俺の妻は最高の援護をしてくれるよ」と言って更に踏み込んでいった。
ロゼが踏み込みすぎて、イブが一気に勝負に出ようとするタイミングで、死角からの超加速された矢が飛んでくる。
氷の矢ならとフレイムウェイブで焼き払っても、いやらしい事に中にはアースボールを応用した土の矢も入っていて気が抜けない。
その間に反撃が失敗してしまう。
ずっとそれの繰り返しの中で、ロゼが顔をしかめてヴァンを見ると「あのバカ、自分の限界を壊す為に、模真式でありながら真模式になった?そう言う奴は嫌いじゃないが好きじゃない!」と激高すると、「広域伝心術!四つ腕さん!ファットマウンテンはフル稼働にして!金と魔水晶を俺が即時集める!」と言って、戦闘中にも関わらず片手でアクセサリーを作るとトゥモの元に送って、「トゥモ!術込めてそのバカに渡して!繰り返しより新品の方が術が貯まるんだ!」と指示を出す。生産速度は異常そのものだがロゼは余裕の顔をする。
「ジェード!集める!コード!来て!」
「おう!」
「了解!」
コードは怖い顔をするとイブの元に駆け寄ってきて、「さあイブ、ライブの元に行こう」と言って怒涛のラッシュを打ち込んでいく。
「ちっ!?身体強化!コード!ママのことを名前で呼び捨てにするんじゃない!」
「同い年くらいだからダメだよ。ほら、しっかり回避しないと怪我するよ?」
コードは軽口を叩きながらギリギリでイブの攻撃を回避すると、「ロゼ!マアルと手出し!」と言う。
ロゼは「俺がこっちをやる!マアル!ライブ母さんだ!」と指示を出すと、「やってるわ!ロゼ!お母様にも私達の本気を見せましょう!」と返事をして、ライブの撤退コースを塞ぐように矢で追い立てていく。
「ペリドット!シャヘル!休むな!動け!」
「やってんだよ!」
「くそっ!メロ式の訓練よりキツい!」
「あんた達!しつこい!本気で潰される前にミチトの所に行かせな!」
ライブはそう言いながらも苦戦していて、イブと合流させられると「イブ!」と言いながら背中を預ける。
「ライブ!こうなったら一気に術で蹴散らします!」
「ならイブが時間稼ぎ!私がやる!」
「了解です!」
「悪ガキども!大怪我しても知らないから!…私の無限魔水晶…、全部出し切ってやる…私だってオリジナルの術くらいあるんだ!ウインドブラストを集めて圧縮!空中に氷結結界!」
それをみたペリドットやヘマタイトは何が起きるのかを考えて青くなる。
それはウシローノ達を相手していたミチトも同じで、「やめるんだライブ!君の身体に何があるかわからない!退けウシローノ!」と声を張ると、ウシローノ達に向けてサンダーデストラクションを放った。
それを見て「やっぱりだ」と言ったトゥモは、直撃の瞬間にウシローノ達を下げると、「ユーナとか言ったな、行け、4人分の次を呼ぶ」と言うと、ヴァンが「6人全部で一気に勝負に出る」と言って、「コーラル、そっちを終わらせて戻ってきて、オブシダンさんとグラスさんはさげるよ」と念話術で指示を出す。
「トゥモ、ライブさんの言葉から察すると風と氷の大技だ。ロゼとコードとジェードで対処可能?」
「ロゼなら術の本質を見抜けるが、タイミングが遅れるから一瞬回避が求められるな」
「了解!念話術!ロゼ!コード!ジェード!対応はペリドット達と俺でやる!外したら即座に本質を見抜いて潰して!」
ヴァンの指示に、ロゼが「バカ!俺たちがやる!」と言ったが、ヴァンは「ダメだ!妻達を潰したら一気にミチトさんを潰す時に頼るから!」と言い、そのまま「ここでミチトさんを止める!!」と言った。
コーラルはヴァンの声を聞きながらオブシダンとグラスを見ると、2人とも頷いてくれる。
「究極の模式、模真式のアクィお婆様と手合わせできた。それももう会えないと思ったオブシダンとグラスと一緒に」
「姉様、僕も幸せだよ」
「本当、イブお婆様やミチトお爺様とも手合わせしてみたかったけど欲張りすぎだわ」
コーラルは2人を見て「私の作戦を送るから助けてくれる?」と聞くと、呆れるように「…よくやるね」と言うオブシダンと、「本当、でもそれなら勝てるわね姉様」と言うグラス。
「アクィさん!行きます!私はあなたを無力化してヴァンの元に帰る!」
コーラルは予備のレイピアを呼び出すと「軽身術!身体強化!」と言う。
アクィは「またそれね。私こそあなた達を無力化してミチトを助けるわ。軽身術!身体強化!」と言って同じく前に出る。
「超重術!二刀剣術!」とアクィが構えた瞬間に、冷や汗と共にニヤリと笑ったコーラルは「超重術!二刀剣術!」と言う。
本来、ロゼも考案していて、アクィも思い付いていた二刀剣術の撃破方法。更にアクィ直伝の方法は、二刀剣術の速さ対決の場合、自分を軽くして相手を重くすることで、圧倒的なアドバンテージを得る攻撃方法だが、コーラルはそれを逆手に取り更に超重術を叩き込む。
アクィは辛そうに顔を歪めて「くぁ!?…まだよ!!まだ私の方が速い!」と言って一太刀目を放ちながら歯を食いしばるアクィに向かって、コーラルは一太刀目を放ちながら「甘いです!オブシダン!」と声をかけると、オブシダンも「超重術!!」と唱えた。
更に重たくなる超重力の空間。
二刀剣術を崩した乱打戦になった中、「アクィさん!本当にお強い!」とコーラルが声をかけると、「あなたこそ!その若さでその才能!羨ましくなる真式のポテンシャル。私の好敵手だわ!」とアクィが返す。
コーラルは憧れの人に好敵手と認めてもらえて涙を浮かべると、「ありがとうございます。でも今は決戦なのでアクィさんをお止めします」と言った時、グラスがコーラルに向けて軽身術を使う。
超重術の中にいるにも関わらず、身体が軽くなった実感を得たコーラルが、「グラスは本当に強い真式だわ。ありがとう」と言うと、「二刀剣術!十六連斬!」と言って剣を振るうと八回剣が当たりアクィは倒れた。
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