第22話 ヴァンからの手向け。
ミチト達は苦戦していた。
倒すべき敵と認識していても、最愛の妻達との間に授かった子供達だと思われる存在を傷つけたくない。
幻覚の類だとしても、癖も何も本人達に酷似しているし、会話も成立している。
ミチトはイブとアクィを拾うと一度交代し、ライブにまとわりつくジェード達にファイヤーボールを放つとライブを下がらせる。
「なんなのあれ?子供達もだけど、ウシローノもアルマもマアルも本物だし」
「ミチト、アレは何?ミチトにもわからない存在?」
「ミチトさん、情報が足らないんだよ?なんとかチャンスを作らないと、あの敵の幹部が、なにかやってるなら聞き出そう」
妻達の言葉にミチトは頷いて「わかってる。前もアレでリナさんが出てきて、本物みたいな動きをした。とりあえず倒すべきなのは、あのトゥモとロゼを従えてるあの子だ。あの軍団はそれで瓦解する。トゥモ達はその後だ」と言う。
イブが「ミチトさん、コンビネーションプレイにしよう。孤立させられると何されるかわからない」と提案をすると、ミチトは「わかってる。イブとライブは俺に術を使わせるタイミングを稼ぐんだ。アクィは好きに動いて俺をサポートだ」と指示を出した。
「了解です」
「オッケーミチト」
「わかったわ」
再度妻達が構えを撮った所で、ミチトはリナに「リナ、見守っているけど危なくなったら回避してね」と言う。リナは「ありがとうミチト。ミチトがいれば怖くないよ」と返事をして微笑み、その流れでミチトがリナにキスをすると、「ずるいです!」、「本当だよ!」、「妻達の権利を主張するわ!」と言われて、ミチトはやれやれと言いながら妻達にキスをすると駆けてくる。
向かってくるミチトを見て、ジェードが「おらヴァン。指示出し。ウシローノさんは下げていいってよ」と言うと、ウシローノも「ええ、貴重な体験でした。ありがとうございます」とヴァンに言う。
ヴァンはウシローノを見て首を横に振ると「アルマさんにはできなかったけど、来てくれた人にはできる事をしたい」と言って、「トゥモ、探して」と言う。
トゥモはヴァンの考えに呆れ顔で、「馬鹿野郎」と言いながらも、「繋いだ。でも一瞬で消すからな。ウシローノさん、やる事はわかってる?」と聞く。
ウシローノはトゥモとヴァンの考えに涙を浮かべて、「感謝します」と言うと単身ミチトに向けて駆け出した。
「ミチトさん!あなたのスレイブとして一矢報います!」
「ウシローノ!お前1人で何ができる!」
剣を振るミチトに「やります!」と返したウシローノは、剣を構えながら「トゥモ君!ヴァン君!」と声をかけると、トゥモが「やれヴァン!」と言った。
「はい!召喚術!イイーヨ・ドデモ!イイダーロ・ドデモ!イシホ・モブロン!」
ミチトに切り掛かって迎撃される寸前のウシローノの横に、「俺たちならやれるって!」と言ってイイーヨが現れると殴りかかり、イイダーロがアースボールを放ち、背後からイシホがミチトに斬りかかる。
「ちっ!?イイーヨ!?イイダーロ!?イシホ!?何をしている!操られるな!」
「それはマスターでしょ!」
「何やってんすか!」
「目を覚ましてください!」
ウシローノ達が果敢に攻め込むと、イブとライブ、アクィが割り込もうとする。
ヴァンはそのタイミングでトゥモに提案をする。
トゥモは呆れ顔で「ヴァン、お前本当にコーラルが大切なのな。仕方ねえ…孤高の本気だ。捉えたぞ。指示を出せ」と言う。
「コーラル!アクィさんの迎撃!ヘマタイトはロゼとイブさん!ペリドットとジェードはライブさんだ!」
ヴァンの指示にコーラルが「私が!アクィさんと!?」と聞き返すと、ヴァンは優しい顔で「夢だよね?行っておいでよ。俺はコーラルを助けるよ」と言った。
「…ありがとうヴァン。私行ってくる!」
「ヴァン君、僕はイブお婆様を止めて参ります」
「ヴァン!ライブは任せとけ!」
駆け出していくコーラル達を見て、トゥモが「いいな。お祭り騒ぎだ」と言うとヴァンが「トゥモは最後ね。道標がないと呼べないからさ」と言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます