第15話 コーラルとヴァンの気持ち。
ヴァンはコーラルを見て、「俺だけの、俺の為だけの無限魔水晶が欲しい」と言った。
「コーラルが魔水晶から作った、無限魔水晶の無限記録盤を作った時の感覚で、俺の為の無限魔水晶を作って欲しいんだ」
「無限魔水晶?なんで?」
ヴァンは自分がザップと加筆修正した無限術人間の覚書を、中央室から転送術で呼び出すと最後のページを見せる。
「ここにはジーフー・ブートがイノー・ブートと考えた、自身がマスターになる術人間の製法が載ってるんだ。書きながら原理は理解したよ。俺はコーラルの作ってくれた無限魔水晶で俺を再施術して、もう一段強くなる」
ジーフー・ブートは自らの手で無限術人間になっていた。
だがそれはマスターとスレイブの関係を無視したもので、支配権の強奪も起きない方法だったが前代未聞の手法だった。
コーラルはジーフーが奇跡だっただけで、再現性が低い事を気にして「何言ってるのよ!誰もやった事ないのよ!危険よ!」と血相を変えてヴァンに食ってかかるが、ヴァンは「コーラル」と名前を呼んでから、「落ち着いて」と言って、「皆なんでも初めてだよ。でもこれはジーフーが成功してるよ」と説明する。
「それはジーフーが人間だったからよ!」
「大丈夫。俺はリットのお陰で、人間でありながら模真式になれた。だからジーフーの方法で、シヤ・トウテのように術を理解して生み出せる真模式になる。閃きを潰したくない。今も術を考えたいのに、体内の無限記録盤が邪魔をしてるんだ。だから無限魔水晶の2個持ちをして模真式だけど真模式になる」
「だめ!やめて!術なら私が考える!だからお願い!変な真似しないで!」と言って泣いて縋るコーラルは、サルバンでもレスでもスティエットでもない、少女の顔でヴァンを止めようとする。
ヴァンは自身の胸に顔を埋めてヴァンを止めようとするコーラルの頭を撫でながら、「コーラルは綺麗なんだから泣いちゃダメだよ?」と言うと、「オルドス様、教えてください」と言う。
「ユーナ、ヘマタイト、ペリドット、シャヘル、コーラル。それぞれが俺の為に無限魔水晶を作ったらどうなります?」
「…ユーナ達は皆ヴァン君と心が通じているから、コーラルほどではないが高水準の無限魔水晶が生み出せるから成功率は高い。でもコーラルと君の絆には誰も敵わない」
「でしょうね」と言ったヴァンは、コーラルを見て「コーラル、俺もコーラルと居たいし、俺もコーラルには皆以上に心を開いてるから上手く行くみたい」と言う。
セレナは「それって!」と驚くが、シャヘルが「黙ってろ」と釘を刺す。
コーラルは真っ赤な顔でヴァンを見て、言葉の意味を理解しようとしながら「ヴァン?」と聞き返す。
「頼むよコーラル。コーラルは貴いよね?だから助けてよ。俺が何とかすれば…、そしてここの皆の力があれば、きっと勝てるよ」
「でも」、「それでも」と言うコーラルに困りながら、ヴァンは扉の方を見て「危険手当付けばいいよね?」と聞くと、ファンとヌーイが中に入ってきて、「バカガキ、リットに助けて貰って、コーラル様まで泣かせて、何様だ?」「アンタは決めたら頑固だから、帰ってくるなら何も言わないわよ」と言う。
ヴァンはヘマタイトを見て、「ヘマタイト、今回死にかけたし、一度ミチトさんを追い返したから危険手当付くよね?」と聞くと、ヘマタイトは驚いた顔で「ええ、それは勿論」と言う。
「それで、真模式になったら更に危険手当が付いて、ミチトさん達を倒すか助けるかわからないけど、やり切れたらボーナス出るよね」
「…手当がついたらやれるんですか?」
「うん。俺は弱っちいし、その為に色々考えてるしね」
ヴァンの言葉に、オルドスは「そこは器用貧乏だからねじゃないのかい?ミチト君が君を認めていたし、あの術の打ち破り方は、ラージポットでゴルディナも感動していたよ」と口を挟む。
シャヘルが「そうだな。伝説の器用貧乏に器用貧乏と呼ばせたんだよな。お前はすごい奴だよ」と言うと、ヘマタイトが「本当です」と言う。
ペリドットが「コーラル、受け入れてやれよ」と言うと、セレナが「そうだよ。ラブラブなんだからさ。ね?ユーナ」と続いて、ユーナが「お前、またシャヘルに注意されるぞ?」と呆れる。
皆がコーラルの名を呼んでコーラルを促すと、コーラルは「そうね…。ヴァンが器用貧乏を認めたら作ってもいいわ」と言った。
「えぇ?俺は弱いだけなのに…」と言ったヴァンだったが、「わかった」と認めると、「俺はやり切るよコーラル。だって俺は器用貧乏だからね」と言った。
皆が沸き立つ中、セレナが「ねえユーナ」と質問をする。
「なんだ?」
「ヴァンの為にコーラルが作る無限魔水晶って、仲が良いほどいいんだよね?」
「まあそうだな」
ユーナの言葉に、セレナは「それなら!」と言ってヴァンに飛び付くと、「伝心術!」と言った。
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