第14話 ヴァンが求めるモノ。

オルドスの「ヴァン君…君、どこまで見てるんだい?」と言う声が聞こえてくると、ヴァンは普通に「何も、俺は弱っちいからいつも考えてるだけですって、とりあえずありがとうございます。少しなら休めますよね?」と聞いた。


「ヴァン?おじ様が休む?」

「うん。ミチトさんがアゲースに術の説明が出来ないのも、転移術が使えないのも、何となく不調だと言ったのも、オルドス様が手を出してくれてるんだよ。でも自分でミチトさんと戦うまでの同時作業が厳しいから、コーラル達が居るんだよ」


ヴァンは自慢げに説明すると、「ね?オルドス様」と言う。


「ヴァン君、君は全部見えているね?」

「見えてませんよ」

ヴァンの返事に、オルドスは「敵わないなぁ」と言う。


「にひひ。ミチトさんが来るまで半月ですか?」

「大体ね。アゲースはミチト君の弱点を封殺してまた来るから時間がかかるよ」


「リナ・スティエットですね」

「うん。リナさんを呼んで盲信術を使うね。もうあの手は使えないよ」


「うん。真っ向勝負ですね」

「本当なら、ヴァン君はミチト君を召喚して、敵を倒すつもりだったのにね」

ヴァンは困り笑顔で「ズルだけど、皆に死んでほしくなかったんです」と言った。


オルドスとヴァンの話にコーラル達は必死に喰らい付いていく。


「ヴァン、戦うってあれだろ?俺達は手も足も出なかったぞ!」

「それを半月で何とかするってどうするんだよ!」


「シャヘルもペリドットも怖がりだなぁ。大丈夫だよ。俺も術人間になったんだから、少しだけ役に立つから平気だよ」と笑い飛ばしたヴァンは、真面目な顔でコーラルを見ると、「コーラル、コーラルは俺を許してくれる?」と聞く。


コーラルは驚いた顔で「え?」と聞くと、コーラルの返事より先にセレナが、「ヴァンのする事ならコーラルは全部受け入れるよ。コーラルの人生にヴァンは欠かせないんだよぉ〜」と冷やかして笑う。

コーラルは真っ赤な顔で「ちょっと!言わないでよ!」と止める。


ヘマライトが真面目な顔で「大叔母様、言うべきですよ。泣いて倒れるまで術を送って、模真式にした話をするべきです」と言うと、コーラルは顔を更に赤くして「ヘマタイト!」と言う。そんなコーラルを見てヴァンが「ありがとうコーラル。俺もこれからもコーラルと居たいから、敵を倒す為に頑張るから許してくれるよね?」と言うと、コーラルの返事より先に「オルドス様、今俺の考えを送ったつもりですけど届きましたか?」と聞く。


オルドスが「ヴァン君、これはいくらなんでも無茶だよ」と言うが、ヴァンは「作戦の方は?」と聞くと、「可能性はあると言うか、これなら勝てると思うよ。でも手順だよ」と返事が返ってきた。


「それはコレが上手くいけば問題無いですよね?手が足り無いから、俺がやるのが1番です。オルドス様は手出し出来ないから、応援してくれますよね?」

「…命を縮める行為だ」


オルドスが暗い声で注意をするが、ヴァンは「だって俺はさっき死んだし、それに今はコーラルに貰った命だから、コーラルと生きるのに使いたい」と言うとオルドスは口を止めてしまう。


その間にヴァンが「いい加減解いてよヘマタイトー」と言うと、ヘマタイトは不思議そうに拘束を解いた時、コーラルが「ヴァン、何するつもりなの?」と聞いてくる。


「怒らない?」

「怒ることをするの?」


「うん」

「じゃあダメだわ」


「なら勝手にやるよ」

「私はマスターよ!」


「リットのおかげでそれは効かないよ」と笑ったヴァンは、コーラルの手を持ってほほ笑みかけながら、「勝手にやると失敗すると思うし、危険な割に効果も期待できない。でもコーラルが助けてくれたら絶対に成功するし、俺たちでミチトさんを助けて、アゲースを倒せるんだよ」と言う。


コーラルは真っ赤になって俯きながら「何をすればいいの?」と聞いた。

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