第6話 マジカル☆タクシー急停車!

 魔界の暴風が去り、静まり返った交差点。

 まるで大規模な戦闘が行われたかのように荒れ果てた風景が広がっていた。

 根本を残して崩壊したビル。倒れて潰れた信号機や電柱。

 そして隕石が落下して出来たクレーターのようになった道路。

 その中央から、突然砂の柱が立ち上がる。

 砂の柱から、ボロボロに擦り切れたフリフリでピンクのコスチュームをまとったマジカル☆ポエミィがその巨躯をあらわした。

「ぬう……下らぬ時間を過ごした」

 マジカル☆ポエミィはそう呟くと、移動のための足を求めてツーテールの髪をゆらしながら歩き出した。


 マジカル☆ポエミィは小一時間ほど歩いて車通りの多い街中にたどりついた。

 ざわめく夜の街も、二メートルを越える巨体をピンクでボロボロのフリフリコスチュームをまとったマジカル☆ポエミィが進む先から静まり返っていく。

 マジカル☆ポエミィの鋭い眼光が周囲を威圧する。物理的な圧力さえ感じられる眼光に、人々は声を出すことも出来ずにただ後ずさる事しか出来ない。

 そんな人々を無視して大通りに辿り着いたマジカル☆ポエミィは、走ってきたタクシーを片手で掴んで止めると、後ろのドアをもぎ取って後部座席にその巨体を無理矢理押し込んだ。

「城之内小学校まで頼む」

 運転手に腹の底に響きそうな重低音で行き先を告げるマジカル☆ポエミィ。

 突然の出来事にしばらく固まったままだった運転手は、正気に戻ると状況を総合的に分析して妥当な判断を下し、車を発進させてそのまま最寄の警察署に駆け込んだ。

 大ピンチ。

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