第7話 マジカル☆黒騎士急降下!

 車は何事も無く警察署に到着。

 運転手は出来るだけ不審に思われないよう気をつけながら、ごく自然な動作で車から降りて警察署の玄関に向かって歩き出した。


 マジカル☆ポエミィは知らない建物の中に入っていく運転手を後部座席からただ見つめている。

「………?」

 運転手が建物の中に入って五分としないうちに、警察官が数人飛び出してきてマジカル☆ポエミィの乗ったタクシーを包囲した。

「抵抗せずにおとなしく出て来い!」

 拳銃を構えた警官がマジカル☆ポエミィに向かって叫ぶ。

 マジカル☆ポエミィは自分が罠にはめられた事をようやく悟った。

 後部座席のマジカル☆ポエミィの唇の端が少しつりあがる。

「ふん……よかろう。罠など食い破ってくれる!」

 マジカル☆ポエミィは車の天井と床を無視して立ち上がると、周りを囲む警官を睨みつけた。

 タクシーの天井からは肩から上、床からはごつい足が突き出ている。

「て、手を上げておとなしくしろ!」

 警官の言葉にマジカル☆ポエミィは無造作に手を振り上げた。

 衝撃波が駆け抜け、警官達は尻餅をついた。背後の大きな音に警官達が振り向くと、拳の圧力で警察署の壁が一部崩れていた。

 マジカル☆ポエミィは引きちぎったサイドブレーキのレバーを掲げて呪文を唱える。


「ポポペン、ポポピン、スッダガルダ。ぬうう……! 来たれ! 地獄の黒騎士『セブンスへブン』よ!」


 マジカル☆ポエミィが呪文を唱え終えると、空を黒い雲が覆い、雷鳴が轟いた。

 空一面の黒雲が割れ、中から黒い馬とそれに乗った黒い鎧で全身を覆った騎士が姿をあらわした。

 黒い騎士は黒く禍禍しい大剣を振り上げ、黒い馬は蹄を打ち鳴らしながら自由落下。そのまま地面に激突してミンチをあたりに撒き散らした。

 大ピンチ。

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