第4話 マジカル☆ポエミィ危機一髪!

 巨大な黒馬は、社会のインフラに深刻なダメージを与えながら走り去っていった。

 道路に残された巨大な蹄の跡。

 人々が遠巻きに見守る中、蹄の跡のひとつが突然噴火したように爆発、砂煙の中からマジカル☆ポエミィがゆっくりと立ち上がった。

「ぬうん!」

 気合一閃、周囲に舞う土埃を闘気で一気に振り払うマジカル☆ポエミィ。

「ぬう……?」

 違和感に気付いて頬の辺りをさすると、その指には赤い液体がにじんでいる。

 無敵要塞と呼ばれるマジカル☆ポエミィの肉体に傷がついていた。

「ぬうう、おのれグレートサンズめ……俺の肌に傷を……」

 眉間に皺を寄せ、唇を歪ませたマジカル☆ポエミィ。

「奴め、調子に乗りおって……まあ、いい、かわりにあやつを呼ぶか」

 ひん曲がったマジカル☆ステッキを力強く掲げ、重厚なバスで呪文を唱える。

「むうん……! ペンコロコンポロチンコロリン、我の元に来たれ、魔界の暴風『ヒステリックマム』!」

 マジカル☆ポエミィが呪文を唱え終えると同時に空が黒雲に覆われ、強い風が吹き始めた。

 遠くからまた地響きが聞こえてくる。人々は不安そうな表情で音のする方向に視線を向けた。

 巨大な黒馬が、車を、道路を、ビルを蹴散らしながら走って来るという、悪夢のような光景が再び展開されていた。

 巨大な黒馬は、マジカル☆ポエミィの居る所までやって来ると、何度も念入りに踏みつけてそのままどこかへと走り去った。

 後に残されたのはすり鉢状になった道路と、たくましい背中だけ出して地面に埋まったマジカル☆ポエミィ。

 大ピンチ。

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