第3話 マジカル☆ステッキ紛失!

 爆発し、派手に吹き飛ぶ車体。

 一際大きな炎の柱が吹き上がり、辺りを圧倒する。

 その炎が突然二つに割れ、中からマジカル☆ポエミィがゆっくりと歩きながら現れた。

「ふむ、なかなかの炎」

 もうもうと黒煙が立ち上り、赤い炎が周りを包む車を振り返りながら呟くマジカル☆ポエミィ。

「だが、魔界の獄炎の足元にも及ばぬ」

 そう言って魔法を使おうと、マジカル☆ステッキを掲げようとしたマジカル☆ポエミィ。

 しかし、その手には先週買い換えたばかりなのに、取っ手部分が指の形に磨り減ってしまっているマジカル☆ステッキが無い。

 どうやら先ほどの爆発のどさくさで無くしてしまったらしい。

「ぬうう……!」

 軽く唸り声を上げたマジカル☆ポエミィは、マジカル☆ステッキを探しに戻るため、丸太のような足を動かして激しく燃え続ける車へ戻った。

 尋常ではない炎に包まれながら、車をひっくり返したり二つに割ったりしながらマジカル☆ステッキを探す。

 常人なら灰になる火力の中、マジカル☆ポエミィはついにマジカル☆ステッキを発見した。

 マジカル☆ポエミィはそれを掴むと、高々と天に掲げて呪文を唱えた。


「パップリドッコリフンヘスト。ぬうう! 来たれ、魔界の暴風『グレートサンズ』よ!!」


 マジカル☆ポエミィが呪文を唱え終えると同時に空を黒雲が覆い、強い風が吹き始めた。

 遠くから重く、空気を震わすような地響きが聞こえる。

 事故現場にいた人々が音のする方を見ると、巨大な、あまりにも巨大な黒馬が突進してくる様が見えた。

 巨大な黒馬は車を踏み潰し、道路をえぐり、ビルを蹴倒しながらやって来ると、マジカル☆ポエミィを踏んでそのまま走り去った。

 大ピンチ。

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