第19話 やきもちと嘘 その2

 結局、梅ちゃんに野口君のことを話したのは中学に行き始めてしばらくしてからだった。

 電話で話してた時に野口君の名前を出して、学校でひまわり育ててるよって言うた。それで野口君が梅ちゃんの知ってる野口君やってわかると思ったから。

 梅ちゃんは、

「その子おんなじ小学校やったけど、私とめっちゃ仲悪かったから、スーちゃん野口に私と従姉妹やって言わんといてな」

と言った。びっくりした。仲良かったはずやのに。

「何で?仲悪かったん?!」

 梅ちゃんは、うううっとちょっと黙ってから

「悪い奴ちゃうねん。全然。ホンマに良い奴やねんけどちょっと喧嘩したことあって……私謝るの苦手やから仲直り出来ひんかった。多分嫌われてるから私と従姉妹って言わん方が良い。っていうか黙っといてなっ!」

 怒ったみたいに早口で言う。嘘付いてる時の梅ちゃんや。何で嘘付くんやろう。

 梅ちゃんが嘘を付くのはいつも自分のためじゃない。自分のためやったら梅ちゃんは嘘を付かないから。

 野口君のためかな?違う気がした。多分私のために嘘付いてる。はっきりはわからなかったけど絶対そうや。

 

 それでもいつかは野口君と梅ちゃんを会わせよう。会わせてあげたいな。そう思った。

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