朝、幼馴染は勇気を出した。
(アイツより先に起きちゃった。夜、長話に付き合ってもらっちゃってたからかな)
(今日も、お弁当は屋上で一緒に食べると思うし……力もいっぱい出るようにごはんたくさん入れてあげなきゃ)
(そういえば、アイツ昨日作った炊き込みご飯たくさん食べてくれてたっけ。まだ冷蔵庫の中に余ってたわよね)
(アイツ、喜んでくれるかな)
(……アタシって、もう普段からアイツのことしか頭にないのね。数年前、アイツのことが密かに好きだった時から何も変わらないじゃない)
(あの時と違うことと言ったら、密かに好きだって思わなくてもよくなったことくらいかな)
(昔っから、押し殺してきた感情を押し殺さなくてもよくなったってのに、どうしても学校じゃ素直になれなかったものね。……生徒会長としての、変なプライド? それとも副会長のようなクールさを目の当たりにして、アタシもこうなりたいって思いすぎちゃったのかしら)
(……もったいないわよね、そんなの。高校生活も、将来は確定してる同棲生活も、今の時期は限られてるんだから。全力で楽しむためにも)
(最初はアイツが告白してくれたけど、今はもうアタシが勇気出さないと、始まらないものね)
(……アタシ、頑張るから)
〇〇〇〇〇〇
「それでね、副会長。今の校内には非常にふしだらな雰囲気が漂っているから、アタシたち生徒会が率先して……あ」
「……おはよう」
「学校で話しかけてくるのは珍しいじゃないかって……えぇ、そうね。気まぐれよ、気まぐれ。副会長は何をニヤニヤしてるのよ。生徒に挨拶をするのは生徒会長として当然の務めでしょう」
「……はいはいって、何よその含みのある笑みは! アンタも、そそくさとどこか行こうとしなくていいから、その――ちょっと、待ちなさいよ……!」
「……」
「…………」
「その…………また、お昼……! 屋上で一緒にご飯食べ……食べ……あ、アンタが、一緒したいって言うなら! 行ってあげてもいいんだからね!」
「……なによ、副会長その顔は。ええ、そうよ。コイツがアタシのこと大好きなの。それだけだから! アタシは……ちょっと好き! ちょっと好きくらいなだけなんだからっ!! 勘違いしないでよねっ!?」
朝8時。いつもこの時間はつっけんどんな幼馴染みは今日は一味違ったようで。
こうして夜が近づくにつれてデレが深くなる俺の幼馴染みが、朝から少しだけデレる(?)ようになった。
ということは夜はこれまで以上にデレるようになる……のだろうか。
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全10話、ほぼほぼヒロインの独り言だけの特殊小説でしたがお付き合いいただきありがとうございました。
果ては朝からデレて夜はとんでもなくデレる幼馴染に昇華していくことでしょう……!
★★★評価やフォロー、感想などお待ちしております!コンテスト最後まで応援よろしくお願いします!
夜が近づくにつれてデレが深くなる俺の彼女(幼馴染み)の話 榊原モンショー@転生エルフ12/23発売 @Baramonsyo
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