深夜、寝ぼけた幼馴染みのデレが留まるところを知らない。
「あ、目が合った」
「深夜3時半。隣で寝ている幼馴染のカレシをカクホー。ぎゅうぅぅぅ」
「なに素っ頓狂な顔してるの」
「目を開けたらアタシと目が合ったって? 当然よ。アタシがちょっと前からずっとアンタを見てるんだもの」
「気づいてしまったならもう逃さないんだから」
「素直になるって決めたアタシに怖いものなんてないのよ」
「だっこ」
「なんで? って言われても、アタシがそう望んでるんだもの」
「くまのぬいぐるみさん抱っこしてたらね、アンタも抱っこしたいなーって思うようになっただけよ。特別な意味なんてないわ」
「はい、ぎゅー」
「……幼児化してるように見える? うーん、どうだろ」
「アンタの前でだけは、どれだけだらしないアタシを見せてもいいかなって安心しきっちゃってるからかも?」
「だって、もうアタシたち10年近い仲じゃない。最初に会った時のこと覚えてる?」
「アンタがウチの隣に引っ越してきて、毎日毎日遊んだわね」
「幼稚園でもさ、ずーっとずーっと一緒にいて」
「それが小学校にもなると、お互い話してるだけでみんなに『ひゅー! ひゅー!』なんてからかわれちゃうからって理由でさ、おしゃべりしなくなって」
「中学校の頃なんて、なんでかお互いがお互いを避けるようになってたもんね。たぶん恥ずかしかったんだよ。アタシもアンタも。お互いがお互いを好きだったんだろうなぁ、ってのは分かってたけど、恥ずかしくってどっちも言い出せなかったよね」
「それで高校生になって。アンタがアタシに告白してくれて。今でも覚えてるの。アタシはさ、明日言おう、明後日言おう、また今度言おう……ってずっとずっと先延ばしにしてたから……」
「今までの関係が壊れるのが怖くって、踏み出せずにいたアタシなんかよりアンタのほうがよっぽど覚悟が決まってたのよね」
「それで、今まですっごい腐れ縁だったアンタが、彼氏になって」
「こうやってお休みの日におでかけして、ひょんなことから一緒に暮らすことにもなって」
「アタシって幸せだなぁって思うようになれたのよ」
「だから、ね。ありがとう。アタシと一緒にいてくれて」
「明日からは、もっと素直なアタシになれるようにするから……これからも、よろしくね」
「……ってことで、だっこ。ぎゅー」
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