夜、幼馴染は俺の頭をヨシヨシしながら自省をする。

「夜ごはん食べた後ののんびり期間ってどうしてこうも眠くなっちゃうんだろうねぇ。さすがのアンタもちょっとうとうとしちゃってるんじゃない?」


「ふふっ、電車の中ではアンタの肩に寄りかからせてもらった分、お返し」


「アタシの膝枕が嫌だっていうの? 今さら恥ずかしがってどうするのよ。……そう、素直が一番よ」


「そのまま寝ちゃってもいいわよ。緊張して眠れない? アンタもかわいいところあるじゃない」


「今だけ、アンタの生殺与奪はアタシが握ってるってところね。ふふふ……恐れおののきなさい」


「ほっぺ、あったかい。耳たぶも、あったかい。おでこも……いつもよりあったかいね。熱かな?」


こつん(おでことおでこをくっつける音)


「アタシもアンタくらい素直になれたらなぁ……」


「……」


「…………」


「……………………」


「ね、アタシってさ、素直じゃなかったりするのかな?」


「……どしたの、そんなにフリーズしちゃって。起きてる? 起きてるよね? まさかストンと寝ちゃってるわけないよね?」


「今まで気づいてなかったのかって、そうね。お昼は……みんなが見てる手前、生徒会長でないと、頑張らないとって気が張っちゃってるのよ」


「まるで二重人格みたいって……そんなワケないじゃない! 学校では、その、ちょっと恥ずかしくなって反応が鈍っちゃうだけなのよ。心の奥底はずっとアンタへの好きがあふれてあふれて止まってないんだから」


(信じられないようなものを見る顔)


「今日の夕方とか、夜みたいにね?」


「誰もいないし、見てるのはアンタだけなら良いかなぁって思っちゃって……」


「頑張って作ったお顔も、生徒会長ぉーってお顔もぜーんぶなくなっちゃうの」


「学校のアタシって、ちょっと堅すぎちゃったりするのかな?」


こくん(頷く音)


「……あー、やっぱりそうなんだ。今日見た副会長も、弟さんのために神社に来てあげてたお姉ちゃんって感じで、可愛かったのよね」


「学校ではカッチカチな副会長だから、面白かったの。でも、副会長の素が見れて今日はうれしかったわ。代わりにアタシも見られちゃったけど」


「できることなら学校でもアンタといっぱいおしゃべりしたいし、いっぱい過ごしたい。それで、おうちじゃもっともっとイチャイチャしてたいの」


「おうちじゃ、誰も見てないわけじゃない。アンタがアタシのお膝の上でのんびりしようと、アタシがどれだけだらしない顔になってようと、それを阻む人は誰もいない。ここはアタシとアンタだけの空間なんだから」


「よし、決めた」


「アタシはもう少し素直になるわ」


「……がんばれるところまで、だけど」

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