夕方、幼馴染はお祭り帰りの電車の中で仄かにデレていた。

「ぁ、ごめん、ちょっと意識飛んじゃってたかも」


「あはは、夕方の電車の中での揺れって不思議ね。あっという間に、すとーんって眠気に負けちゃうんだもの」


「アンタは眠くならないの? って、そっか。アタシ、アンタに寄りかかってたから呑気に眠ってられたってわけね」


「ふーん、悪い気分じゃなかった、ね。アンタもちょっとは素直になってきたじゃない。じゃ、もうちょっとの間だけ肩、貸してよ」


「……今日、楽しかったね」


「アンタが射的で取ってくれたうさぎのぬいぐるみ、大事にするから」


「ちょうど抱っこしてたら腕に収まるくらいね。アンタだと思って毎晩抱いて寝るわ。……と思ったけど、そういえばもうアンタはいつも隣にいてくれるんだっけ? ふふっ」


「アンタを横に置いて、うさぎのぬいぐるみも横に置いて眠っちゃえばアタシは無敵よ」


「あんなにムキになって取ってくれなくても良かったのにね。1000円も使っちゃって。ホント、バッカみたい。……でも、うれしかったわ」


「……小学校の頃できなかったことを果たしただけって、アンタもしかしてまだあの時のこと覚えてたの?」


「小学校のお祭りで、アタシが欲しがってたクマさんのぬいぐるみをアンタが頑張って射的で取ってくれようとしてた時の」


「確かあの時はアンタのお小遣い手持ち500円、ぜーんぶ使っても取り切れなかったっけ。他にも回りたい出店もあったでしょうに」


「アタシの喜ぶ顔が見たいからって頑張ってくれてたの、覚えてる」


「今日のアンタもおんなじような顔してたわよ」


「ニヤニヤだってしちゃうわよ。アタシが見たかったアンタの表情がたっぷり見れたんだからね」


「もうあの頃とは違う……ね。そうかも。でも、昔っからアンタはそういうところが変わらないなって、今日改めて思ったのよ」


「そんなアンタのことが、アタシは昔っから大好きだったんだから」


「……なによ、ハトが豆鉄砲食らったような顔して」


「アタシのほうこそ素直になった? まぁ、いいじゃない。こんな田舎の電車の中じゃ誰も見てる人なんていないわけだし」


「ほら、誰も見てないし……こんなことだってできちゃう」


「……んっ」


「ウサギのぬいぐるみのお礼。あの時のお祭りの時も、アンタが取ってくれてたらするつもりだったのよ」


「……そろそろ最寄りの駅だから、続きは帰ってからね」


「あ、その前に晩ご飯買いに行こっ。たぶん、夜ご飯作ってる時間もそんなにないでしょうしね」


「……って、ほら! ぼけっとしてたら、アンタだけ電車と一緒に遠く行っちゃうじゃない!」


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コンテスト締め切りまであと4日、引き続き頑張って更新していきますので是非フォローや★★★評価などよろしくお願いいたします!!!

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