朝、ツンツンな幼馴染と一緒にデートに向かう。

「ここまで人で混んでるとは思わなかったわ。お出かけがお昼前まで押してしまったのはアタシのミスね」


「何よその顔。ええ、そうよ。アタシがお寝坊さんしたのが悪いのよ。アンタも一緒にお寝坊さんしてたじゃない」


「アタシの寝顔見てたら起こせなかったって……あぁ……もういいわ。過ぎた話だものね」


「今日行きたいと思ってたところはね、『縁結びの社』よ。アタシたちの街にある唯一の神社、あるじゃない?」


「副会長が言ってたのよ。年に一度開かれてる縁結びの儀で、祭主様にい紐をむすんでもらうとそのカップルは永遠に添い遂げられるって言われてるとかなんとか」


「生徒会長のアタシは不純異性交遊なんてしないから話半分に聞いてただけだったけどね。もちろんアンタとの関係についても、少しも悟られることはなかったわ」


(まぁ、その後じっくり1時間かけて調べ尽くしちゃったけどそれは……言わなくていいかな)


「でも、副会長もなんでその話に妙に詳しかったのかまでは分からないわ。いくら副会長とはいえ、仕事とプライベートは分けているからそこまでは聞かなかったし」


「もしかしたら副会長も、表ではあんなにクールだけど裏では男の子とプラトニックな付き合いをしてるかもしれないわね」


「おかしかったところはなかったか? ……そういえば、それをアタシに話しているとき妙にニヤニヤしてたわね。彼女も誰かと行く当てがあったとか……って、ふ、副会長⁉」


「な、ななな、なんであなたがここに⁉」


「あなたの隣の男の子がいるのね。ってことは……あ、アンタも隅に置けないわね」


「えっ、弟……さん?」


「縁結びの儀は別に恋愛じゃなくったって、学業でも成り立つ……へぇ」


「受験生の弟さんが、志望校と縁ができるように神主様にお願いしにきた……へぇ」


「す、すごく立派なことね。さすがは副会長。アタシの右腕たる存在ね」


「あ、アタシ? と、コイツとの関係……そうね……」


「……」


「…………」


「……………………っ」


「た、ただの友達よ。近くで神社のお祭りがあるからってことで来てみたら鉢合わせただけのね」


「ほ、ほら……お互い一人で回ってても寂しいかと思って二人で回ることにしたのよ。そ、それだけなんだから」


「邪魔して悪かったわね。弟さん、受験、うまく乗り切れるといいわね。志望校は……あぁ、ウチの高校なの。そう、応援してるわ」


「ほら、アンタも行くわよ。じゃあね、副会長」




「あぁ、これだからアタシはいつも……!」

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