夜、デレデレの幼馴染とホラー映画を見た後一緒に眠る。

「……こわくなっちゃった。そっちのおふとん、入れて」


「やっぱり夜にホラーの映画見ちゃうと眠れなくなっちゃうね」


「最後、井戸の中から女の人が出てきたとき、あんたも手が震えてたし」


「ずっと握ってたんだから分からないわけないじゃない。恰好つけさんめ」


「でも眠れないのはあたしだけ? ふーん。いいもん。あたしはあんたがいないと夜も眠れないダメな子だもん」


「ママがいなくなって寂しくないか? ううん、全然」


「なんならママには感謝してるの。おかげでこうしてあんたと夜もずっと一緒にいられるんだから」


「思い出すね。先月までは二人で寝るまで電話してたのに、今はすぐ隣にいる」


「今までは触れなかったけど、今はいっぱい触れるね」


「ぎゅーってしたら、怖さがなくなるんだって。昔ママが言ってた。……ぎゅーっ」


「……ね」


「あんた、昔と比べて体格良くなったもんね。男の子って感じがする」


「あんたの耳はぷにぷにしてる。かわいいから噛んじゃいたいくらい」


「はむっ」


「……わ。そんなにびっくりして跳ねないでも、痛いことなんてないってば」


「ほら、耳のリラックスは身体全体にも伝わるって……その、だれか言ってたし」


「じっとしてくれてたら代わりにあたしにも触っていいから」


「あたしはね、いろんなところが柔らかくなっちゃったの。ほら……ね?」


「知ってる? あんたが今触ってる二の腕と、女の子の胸って実は触り心地は同じなんだって」


「本当かどうか、試してみても……いいよ?」


「なに今さら恥ずかしがってるの。おばか。いくじなし」


「朝の態度はどこ行った? って……朝は、うん、そういうものなの」


「どうしてもあんた見るとふにゃってなっちゃうから、しっかりしてないとって思っちゃうの」


「あんたのふにゃっとしてる顔はほかの誰にも見せてほしくないし、あたしもふにゃっとなっちゃうの、誰かに見られたくないから」


「学校以外じゃああはならないわよ。誰にも見られる心配ないもの。だから……その、ね?」


「明日、学校お休みじゃない? あたし行きたいところがあるんだけどさ、一緒に行かない?」


「今日ね、副会長たちと生徒会室でお話ししてたの。恋人とそこに行けば、将来絶対に結ばれるんだって」


「生徒会長なのに行っていいのかって? いいに決まってるじゃない。明日は生徒会長のあたしじゃないから。生徒会長はふじゅんいせーこーゆーはしないけど、明日のあたしはふじゅんいせーこーゆーしてもいいの」


「いっぱい遊んで、いっぱいお願いして、おばあちゃんになっても、あんたの隣でこうやって眠るの」


「おやすみ。うん、おやすみ。ふふっ、明日がたのしみっ」

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